「製作費120億円映画」お蔵入りの独善に業界憤然 製作者への裏切りはハリウッドの負の遺産に
日本で北野武監督の映画のお蔵入り危機報道が騒がれる中、海を超えたハリウッドでは、桁違いの話に業界人が騒然となっている。
ワーナー・ブラザースが、9000万ドル(約120億円)の製作費をかけ、撮影も終了したDCスーパーヒーロー映画『バットガール』の上映を取りやめると決めたのだ。系列のHBO Maxで配信することもなく、ほかに売ることもしない。完全にお蔵入りさせるというのである。
映画の出来が悪かったり、テスト上映の反応がいまひとつだったりした場合、スタジオが映画の公開を遅らせるのは、昔からよくあること。映画館が閉まっていたパンデミックの中では、劇場用に作った映画をスタジオが配信会社に売るということもしょっちゅうあった。しかし、ほぼ出来上がっているものをそのまま捨てるというのは前代未聞だ。
作品の出来が問題ではなかった
しかも、お蔵入りの理由は、作品の質の問題ではないというのである。テスト上映の結果も、まずまずだったとのことだ。主演のレスリー・グレースは比較的無名だが、マイケル・キートンが久しぶりにバットマン役を演じるという話題性もあった。
それに、監督は、『バッドボーイズ・フォー・ライフ』をヒットさせたうえ、最近ディズニープラスで配信が始まった『ミズ・マーベル』で2話を監督して、今、とても乗っているコンビ、アディル・エル・アルビとビラル・ファラーだ。
エル・アルビの結婚式のため滞在していたモロッコでこの最悪の知らせを聞いたエル・アルビとファラーは、「僕たちは大変ショックを受けています。まだ信じられません。監督である僕たちにとって、作品が観客に届けられることはとても大事。映画はまだ完成していませんでしたが、世界中の観客に自分の目でこの映画を見てもらいたかったです」と、インスタグラムにメッセージを投稿した。主演のグレースは、7カ月かけてスコットランドで一緒に撮影した共演者とクルーに感謝の言葉を送っている。
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