労働になる「時間」、ならない「時間」の微妙な境目 制服の着替え時間は「労働」電車でのメール返信は
「まいどおおきに食堂」などを全国で展開している飲食大手「フジオフードシステム」が、従業員が制服に着替える時間分の賃金を支払っていなかったとして、労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが報道されました。
勤務に当たり、会社が指定した制服に着替えることが義務付けられているならば、着替えに要する時間は、業務と密接不可分の時間として、労働時間の一部となることは疑いの余地はありません。
厚生労働省が公表している「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日策定)においても、以下の時間を労働時間として取り扱わなければならない旨が明記されています。
上記ガイドラインにおいて、厚生労働省は「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」と定義をしています。
労働時間かどうかの判断が難しい
この点、昨今は業務のIT化やリモートワークなどで働き方が変わり、労働時間かどうかの判断が難しい事例も増えてきました。
加えて、女性や高齢者などの社会参加で働く人の多様化が進み、男性も仕事だけでなく家事や育児への積極的な参加が求められる時代になっており、労働者1人ひとりが安心して就労するためには、労働時間かどうかの線引きは、これまで以上に明確にしていかなければならないという社会的ニーズも高まっています。
本稿においては、筆者の実務経験も踏まえ、「労働時間になるもの、ならないもの」の線引きで昨今問題になりがちな事象をピックアップし、検証をしていきたいと思います。
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