労働になる「時間」、ならない「時間」の微妙な境目 制服の着替え時間は「労働」電車でのメール返信は
スマートフォンの普及により、どこにいても仕事ができるようになりました。
多くの企業でLINE WORKS、Chatwork、Slackなどのビジネスチャットが導入され、会社から貸与されたスマートフォンや個人のスマートフォンにアプリをインストールし、通勤時間や自宅などで、メッセージの確認や返信を行っている方も少なくはないのではないかと思います。
このような作業を行っていた時間は労働時間になるのでしょうか。
会社がスマートフォンへアプリのインストールを禁止したり、社外での閲覧や返信を禁止したりしているにもかかわらず、自己判断でメッセージの閲覧や返信を行った場合には、使用者の指揮命令下にあるとは言えず、労働時間とはなりません。むしろ、逆に業務命令違反で懲戒処分の対象になりかねません。
一方で、会社が社外でのスマートフォンでの業務を許可していたり、事実上容認をしている場合には、法的には労働時間として賃金支払いの対象となりえます。しかし、実務上はグレーゾーンになっていることが多いという印象を受けます。
曖昧なままにせずルール作りが必要
社外でのスマートフォンやノートパソコンを用いた業務については、一律禁止にするのも一案ですが、筆者の私見としては、労働時間かどうかの位置付けを曖昧なままにせず、各社において労使が話し合い、自社に合ったルールを定めたうえで、スマートフォンでの業務を行うならば、有用な働き方の1つになりうると考えています。
例えば、通勤時間にスマートフォンで業務を行うことができれば、遠方に居住している従業員は、会社で残業をするかわりに、帰路の電車内で仕事を行うことで、早めに家に到着し、家族と食事をするなどのプライベートを充実させることができます。
その際、電車内で業務を円滑に行うことができるよう、会社が認めた場合には、グリーン料金や特急料金を支給する、ということも考えられるでしょう。普通列車のグリーン車や、特急列車の座席にはテーブルが(車両によっては電源も)ありますから、ノートパソコンを用いた作業も可能になります。
また、個人情報や機密情報の保護の観点から、社外でスマートフォンを使用して行ってよい業務の内容についても基準を設けておくべきです。加えて、プライバシーフィルターを利用する、画面を暗くする、電車であればできるだけ乗客の少ない車両に乗る、カフェなどであれば壁を背にする、といった物理的な対策も、可能な限り行うようにしたいものです。
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