東大教授が教える「頭のいい人」が実践する会話術 コミュニケーションで誤解が生まれる原因を分析
「いろいろ記号が出てきて、ややこしいな……」と思った方もいるかもしれませんが、安心してください。ここからはイラストも入れて、コミュニケーションのパターン②、③、④について1つずつわかりやすく説明していきます。実際に、どんな場面で「疑い力」を発揮すれば誤解を減らせるのか、いくつか例をあげましょう。
コミュニケーションの誤解を減らす
②「I=M≠V≠I」
話し手は素直にメッセージを発するが、聞き手がメッセージを誤解している、もしくは疑っている場合
話し手は真意(I)を素直に伝えているけれど、聞き手がそのままの意味で解釈していません。そのため誤解が生じているので、話し手が「疑い力」で聞き手の解釈の間違いを確認して、本人にフィードバックすればいいのです。よくあるのは、教育者が生徒の誤解に気づき、間違いを指摘するケース。あるいは、上司が部下の違いを指摘して正しいやり方を教えて直すケースです。
この場合、聞き手が意図的に曲がった解釈をしているわけではないため、話し手が間違いを指摘するときはミスや誤解をとがめて非難してはいけません。一方、聞き手が先入観を持っていたり、感情的になっていたりして、話し手の真意(I)がストレートに伝わらないこともあります。
こういう場合は、聞き手の先入観を取っ払うか、冷静に聞く耳を持ってくれるときに、改めて話をする必要があります。私は、誤解を回避するための手段として、第三者に相談することもよくあります。
たとえば、会食などで自分と考え方が違う初対面の人と話をする必要がある場合、その人と仲のいい第三者を探してどういう人物なのかを聞いてみるのです。すると、自分の偏ったイメージや先入観が軽減され、少しでも相手の人となりがわかると自分の気持ちに余裕が生まれるので、本人に会ったときも冷静なスタンスで話をすることができます。
③「I≠M=V≠I」
話し手は聞き手を騙したり誘導したりしている。聞き手は話し手のメッセージを素直に受け取っている場合
ビジネスの場面でよく起こりやすいのは、本音と建前を使い分ける「I≠M」のケースです。たとえば、苦手意識がある人や信頼できない人から、仕事の協力を求められた場合、本心では「この人と一緒に仕事をしたくないな」と思っていても、建前上、忙しさや他のことを理由に断る場合などが、これに当てはまります。
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