東大教授が教える「頭のいい人」が実践する会話術 コミュニケーションで誤解が生まれる原因を分析

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次に、この2つのパターンを聞き手が解釈する際も、真意をそのまま受け取る場合の「M = V」と、そのままの意味で受け取らない場合の「M ≠ V」の2通りあります。さらに、結果として聞き手の解釈(V)が相手の真意(I)通りだった場合は「V = I」、違った場合は「V ≠ I」となります。

完全にわかりあっている2人なら、「I = M」「M = V」となり、三段論法から誤解や疑いがまったくない「I = V」の理想的な関係になります。

しかし実際は、お互い何らかの駆け引きをしている残念な現実があります。そこで、話し手がどのようにメッセージを発し、聞き手がどのように受け取るか、数学的に組み合わせたところ、次の5通りしかないことがわかったのです。

コミュニケーションの5パターン

➀I=M=V=I
話し手は素直にメッセージを発し、聞き手も素直に受け取る。両者の気持ちが一致して完全に理解している

②I=M≠V≠I
話し手は素直にメッセージを発するが、聞き手が話し手のメッセージを誤解している、もしくは疑っている

③I≠M=V≠I
話し手は聞き手を騙したり誘導したりしている。聞き手は話し手のメッセージを素直に受け取っている

④I≠M≠V=I
話し手は真意と違うメッセージを発し、聞き手も話し手のメッセージを疑って真意を見抜いている

⑤I≠M≠V≠I
話し手は真意とは違うメッセージを発し、聞き手も違う意味で解釈している。間違ったメッセージのやりとりによる完全なる誤解

この中で、①は相互理解が成り立っているため問題はありません。反対に、⑤は詐欺か酔っぱらい同士の会話にありがちで、お互い理解し合うことを目的としていないため、解決する必要はないでしょう。「疑い力」によってコミュニケーションが上手くいく可能性が高まるのは、②、③、④の3つです。

あなたが人間関係で悩んだとき、どのパターンに当てはまるか照らし合わせてみると、コミュニケーションにつまずいている原因がわかるかもしれません。

また普段から、人と話をしているとき、5つのうちのどのパターンになりそうか意識していると、「疑い力」が高まり誤解を減らすことができます。

『東大教授の考え続ける力がつく思考習慣』より
次ページ「疑い力」で相手の誤解を解く
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