萩原聖人さん「沖縄戦を戦った県知事を演じて」 50代になって思う「才能より人格の時代」

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萩原聖人さんが大事にしてきたこととは?(撮影:梅谷秀司)
10代から役者の道を歩み、50代の今ますます芝居での円熟味が光る俳優、萩原聖人さん。映画『マークスの山』などで日本アカデミー賞を受賞するなど、記録にも記憶にも残る演技で観る人を魅了してきた。近々では映画『島守の塔』に主演。第2次世界大戦中に県民の命を救うことに奔走した、実在の沖縄県知事・島田叡役を演じ異彩を放っている。
筆者は萩原さんには過去二度、“遭遇”したことがある。数年前に取材したときには、ソフトな語り口と物腰の柔らかさにそのお人柄を鮮明に記憶したが、二度目はさらに印象的だった。あるとき、別取材で訪れたテレビ局内で迷い慌てふためいていたときに、ちょうど萩原さんとすれ違い、慌てるあまり場所を訪ねてしまったのだ。
見知らぬ一般人に聞かれたにもかかわらず、萩原さんはとても丁寧に対応してくださった。インタビューは、そのときの話から始めさせていただいた。
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「人に惚れられる人間になりなさい」

――覚えていないと思いますが、その節は丁寧な対応をしていただきありがとうございました。知人でもない筆者の問いかけに、無視してもおかしくはない状況だったと思います。

たとえ知り合いではなくても、人のことって無視できますか? 僕はできないです。この仕事を始めてからずっと同じ事務所に所属していますが、デビュー当時から尊敬する事務所の社長に最初に言われたことがあります。

「人に惚れられる人間になりなさい」と。

当時16歳だった僕の人格に、多大なる影響を与えた言葉です。今も大切にしているからこそ、人を無視することができません。その言葉に反する気がして。

表面的に好かれることは、それほど難しくないと思います。極端な表現かもしれませんが、いい人のフリをしていればいいだけですから。

ですが、どうすれば「惚れられる」というところまでいけるか、いまだに明確な答えはわかりません。

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