ドラッカーに学んで、人生を悔いなく豊かに 仕事とボランティア、2つの世界を持とう

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わが国社会の観察と問題点にはじまり、変わりゆく仕事環境への対応、NPOの重要な役割、ドラッカーの経営哲学と助言、NPOの事例と著者の体験などを今までになかった視点で切り込んでいます。新鮮な切り口に刺激をもって読んでもらえる内容になったと自負しています。

信念と価値観をしっかり持つ

  ――NPO活動を取り組む上での心構えをお教えください。

島田 恒(しまだ ひさし) 1939年兵庫県生まれ。神戸大学経済学部卒業後、(株)クラレ入社。同社事業企画部長等を歴任し、独立。島田事務所代表として企業・NPOの指導・研修を行う。龍谷大学経営学部教授、大阪商業大学総合経営学部教授を経て、現在関西学院大学客員講師、神戸学院大学講師。経営学博士。日本YMCA同盟等多数のNPOに協力・支援。著書に『NPOという生き方』(PHP研究所)など。

三つにまとめてみましょう。先ず大切なことは、NPOの掲げているミッション(使命、目的、価値観)に共感できるかどうかです。

本書では「真の豊かさ」を実現させるには、人生を貫く信念・価値観を自分自身でしっかりと持つことと述べています。本書ではこれを「人生のタテ軸」と呼んでいますが、そのタテ軸とNPOのミッションを重ね合わせてみて共感できるかどうかが大切なのです。そうすれば、NPO活動を通して「真の豊かさ」を体感できるようになります。

二つ目は、人間関係の相性がよいかどうかです。ミッションを共有する仲間とうまくやっていけるかどうか。人間関係がうまくいかなければ、自分自身の居場所にならないからです。

最後は、活動ペースを見極めることです。「働き盛り」の方々には、仕事に大きな無理がくるような活動はおすすめできません。定期的に活動する頻度や内容など、自分のペースと照らし合わせてください。楽しい活動でないと長続きは難しいと思います。

――本書をどんな方に読んでほしいですか。

「働き盛り」の方々は人生を前向きに歩もうとしているだけに、ふと「自分の人生は、これでいいのか」と自らに問いかけた経験をお持ちではないでしょうか。そのような方々へ少しでも指針となるメッセージをお届けしたいというのが本書の願いです。

ドラッカーは、80歳にして『非営利組織の経営』を発表し、以降、社会や人間を変えていく機関としてのNPOに深い関心を向けていきました。NPOとかかわりを持ち続けた私自身も、振り返ってみると、経済の尺度では赤字、しかし人生という尺度では間違いなく大きな黒字でした。金銭では計れない素晴らしい仕事に恵まれ、人にも恵まれるという大きなプラスがあり、今もこうしてプラスを生み続けてくれています。ですので、読者の皆さんも本書を手に取って、一回だけの人生を豊かなものにするべく、チャレンジしていただきたいと心から願っています。

東洋経済新報社 出版局
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