無駄な情報をマスキングして、目の前の作業に集中するのは、目的達成のために情報を組み合わせる、ワーキングメモリが関連する脳の機能です。ワーキングメモリのシステムを構成する脳の領域に、上頭頂小葉があります。この領域は、作業と姿勢の関係をモニターし、感覚データに基づいて、最も有効にその作業が行える姿勢を導き出しています。
スポーツや楽器の演奏をするためには、フォームが重要ですよね。同様に、デジタル作業でも、前述したような最適なフォームがあります。
最適なフォームがつくられると、筋肉から感覚データが上頭頂小葉に集まります。「最適な姿勢がつくられています」という情報が、背外側前頭前野、前部帯状回皮質に送られて、目の前の作業以外の情報には注意が向かないように制御されます。
●キーワード ワーキングメモリ
メールの即レスは消耗が大きい
シングルタスクしかできない、なんて言っていられない状況もあります。そんな状況に臨むときは、まず「重要なものから進めるか」「連絡をスピーディーに捌くか」その日の戦略を決めましょう。
メールの即レスのように、「緊急度は高いが重要度が低い仕事」は代謝率のアップダウンが激しいため消耗が大きく、その後の作業がめんどくさくなります。「緊急度は低いが重要度が高い仕事」があるときには、そのための時間を優先的に確保しましょう。朝イチにその仕事に手をつけてから、2番目にメールチェックをすれば、効率よく作業を進められます。
もともとマルチタスクができない脳は、息をつく間もなく出される課題に対して、3つの注意機能で挑んでいます。
② トップダウン注意:自らの意図で注意を向ける。目的に持続的に注意できる
③ 注意の構え:目的を達成するために予測する。注意の向け方を決める
作業中に別の作業の催促メールが来たとします。①ボトムアップ注意が使われると、催促メールに素早く反応して、即レス作業に取り掛かります。②トップダウン注意が使われると、催促メールを無視して目の前の作業に注力します。どちらが望ましいかは、場面によって異なりますよね。どちらの戦略で臨むのかを決めているのが、第3の注意である③注意の構えです。
注意の構えが使われると、催促メールが来る時間を予測して終わらせておいたり、催促メールが来た場合に目の前の作業をどこまで終えてからメールを見るかを決められたり、マルチタスクを回避する行動がとれるようになります。
●キーワード 3つの注意
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