国内政治の危機は、国境をはるかに越えて他国に影響が及ぶ。狂信的排外主義と原理主義的信仰が根を張り、ありとあらゆる過激派が信奉するテロがそこにはびこる。なぜなら、狂信的排外主義や原理主義的信仰は、個人の時代に理想的にマッチしているからだ。これらの主義主張は無定形さを特徴とし、カリスマ性のあるリーダーを通して浸透しているため、個々人は自分の夢をリーダーに投射できる。既存政治の枠組み内でこれらに対抗するのは難しい。
しかしこの強みは、弱みにもなりうる。支配地域を管理し、人々を統治するようになると、既存の国家と同様に、手のかかる後方支援面・組織面での制約に直面し始める。その結果、つねに官僚主義がついて回り、大混乱と組織改革の必要から逃れられない。
政治を土台から再建せよ
価値観という領域を、政治が狂信者、ペテン師、エコノミストの手から取り戻すには、政治を土台から再建しなければならない。今や世界人口の過半数が都市居住者だ。政治を再生させるためには、弾力性に富んだ都市社会の魅力が、広漠とした仮想現実社会と釣り合うようにするしかない。
さらに、国家と国際社会との懸け橋を提供するEU(欧州連合)などの機関を強化し重視すべきだ。特にこれらの機関が持つ専門的機能を、その政治的役割から明確に区別しなければならない。
とはいえ、まず何よりも政治家が、自らの地に落ちた信用を経済学を身にまとうことで立て直そうとする態度を改めるべきだ。大事なのは倫理であり、公正な秩序ある社会を構築する構想だ。
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