フェアレディZの歴史を紐解けば、1960年代は北米専用の「Z」とSP310/SP311/SR311のダットサン「フェアレディ」が、その原点にある。
筆者がドライバーとして実際に「フェアレディZ」に接するのは、1970年代に入ってからのS30とS130だったが、1980年代以降、さまざまな機会でZ31やZ32に乗ってきた。
2002年に登場したZ33は、導入初期段階より当時カリフォルニア州ガーデナ市にあった北米日産から、何度も借り出し、2008年に登場するZ34に進むなかで、日米各地で商品改良の現場をじっくりと見てきた。日産によれば、2021年3月時点で、S30登場以降の累積生産台数は180万4739台に及ぶ。
また、“Z35(実際にはRZ34)プロトタイプ登場が間近”という噂が広まったタイミングで、筆者はZ34(NISMO)と、スカイライン400Rを同時に日産本社から借り出し、その走りを合体させたイメージでRZ34の姿を妄想したりもした。
さらに、スーパー耐久シリーズRZ34レース仕様の走りを、デビュー戦となった2022年6月「富士24時間」と続く7月「菅生3時間」でコースサイドからじっくりと見た。
誰もが感じられる「Zの世界観」
RZ34はZ34から続くプラットフォームを継承・強化したものだが、車体回りの部品番号を見れば、Z34と比べて8割近くが新設計であることがわかる。また、エンジンもスカイライン400Rとはターボ後部の触媒やマフラーのほか、各種補器類が専用設計となっているし、前述のように6MTは改良され、ATは7速から9速に多段化されている。
こうした技術的な背景を踏まえたうえでRZ34に乗って感じたのは、これまでZを乗り継いできた人、そしてこれから“Zを初めて知ろう”とする人たちに対して、「Zという明確な世界観」を開発チーム全員がしっかりと理解できている、ということだ。
これが、結果的に「ダンス・パートナー」という形として具現化されているのだと思う。そうしたZの世界観は、Zのドライビングシートにつけば、運転の技量にかかわらず誰もが自然に感じ取れるはずだ。
なお、日産は2022年7月19日「日産アリアB6(2WD)、新型フェアレディZご注文の一時停止のお知らせ」を出し、2022年7月末日で両モデルの注文を一時停止すると発表した。理由として、世界的な半導体不足やコロナ禍で不安定な世界情勢におけるサプライチェーンの混乱などを挙げている。
そのうえで、日産関係者から特にフェアレディZについて「すでに主な市場であるアメリカ、そして日本で想定をかなり超える数の注文・販売実績がある」との指摘があったことを最後にお伝えしておきたい。
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