音や振動に関わる分野の開発者によると「ATの上級グレード(一部オプション)ではSportモードになると、アクティブ・サウンド・コントロールも利く。エンジン回転やアクセルワークで加速意図を予測して、スピーカーから音を出す」という。
だが、けっしてギミック感はなく、車内空間のスポーティさが自然な形で充実するイメージだ。人口音が気になることはなく、全体の音としてZらしい世界観の中にしっかり収まっている印象だった。
カントリーロードに入ると、積極的にマニュアルモードでパドルシフトを使いたくなった。純粋に“走りが楽しい”のだ。
18/19インチ、セットアップの妙
また、先に乗った18インチ対し、Proto Specは19インチを履くが、コーナーでステアリングを切ったあとのクルマの動きに“タイヤの差だけではない差”を感じた。
この点について、実験担当者は「モノチューブのショックアブソーバー
の仕様は同じだが、19インチ車は(コーナー進入でコーナーリングのための)クルマ全体の姿勢に対するセットアップを(18インチ車に比べて)積極的に行っている」と説明する。
いずれにしても、18インチ車であれ19インチ車であれ、またMT車であれAT車であれ、またエントリーモデルグレードであれ最上級グレードであれ、RZ34はタイヤと路面の接地感がしっかり出ているので、実に乗りやすいクルマに仕上がっていることが確認できた。
日産では、RZ34のパワートレインを含む走り全体を「ダンス・パートナー」と表現している。
これはマツダ「ロードスター」でいうところの「人馬一体」と同系統の設計思想であるが、Zとロードスターではスポーツカーとして世界観が明らかに違う。そのうえで、今回の試乗では、筆者はRZ34と楽しいダンスが踊れたと思う。
試乗前、筆者なりに「きっと、こんなクルマに仕上がっているはずだろう」というイメージを持っていたが、実際の出来栄えはその予想を超えていた。表現を少し変えると、想定したライン上での出来栄えだったともいえる。そこにあるのが「Zらしさ」だ。
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