「統一教会」が米国に寿司を広めた知られざる経緯 日本人信者たちがいかに寿司企業を拡大したか

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寿司がアメリカで普及した知られざる経緯とは(写真:PIXTA)

本記事はニューヨーク・タイムズ紙に2021年11月5日に掲載されたものです。

まず、神は「寿司会社」を創造していない。寿司は後からやってきた。「トロ」や「オマカセ」の意味を知っているアメリカ人がほとんどいなかった1980年はもっとシンプルな時代だった。その日、ニューヨークにある「ニューヨーカーホテル」の大宴会場で、統一教会の創始者である文鮮明は、数十人の信者たちに語りかけていた。

集まった70人の信者のほとんどは日本人

その時代のエネルギーと、その日を待ち望んでいた信者たちの姿が想像できるだろうか。アメリカ中から、文が所有する超高層ビルに信者が集められた。元ホテルだったそのビルの2000室を、文は聖塩で祝福し、宣教本部に変えていた。

ほとんどの人は文を遠巻きからしか知らない。同じ服を着た何千人もの「ムーニーズ(統一教会の信者)」をマジソン・スクエア・ガーデンで結婚させた丸顔の「救世主」は、その後脱税容疑で有罪となり、恐れられ、嫌われた洗脳者からぼやけた、道化者的な存在に変わっていった。

だが、大宴会場に集まった若い信者は、文が人類の「真の父」だと考えていた。文は韓国出身だが、その日、彼が人生を変えてしまった70人ほどの信者の大半は日本人だった。

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