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ベネワン創業者が「TOB合戦」の舞台裏を全告白 第一生命グループ入りで野望実現の時間を短縮

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第一生命HDがエムスリーとのTOB合戦を制して完全子会社化した、ベネフィット・ワン。創業者である白石社長に、異例の買収劇の内幕を直撃した。

第一生命HDからの買収提案が来たとき、白石社長は「ピンときた」という(撮影:尾形文繁)
福利厚生サービス最大手のベネフィット・ワン。時価総額3400億円超の東証プライム上場企業だったが、5月20日に上場廃止となった。
2023年11月、医療情報サイトのエムスリーからTOB(株式公開買い付け)提案を受け、それに賛同。ところが翌12月に第一生命ホールディングス(HD)から、より高い価格でのTOB提案を受け、最終的に第一生命HDの完全子会社となった。
もともとベネフィット・ワンは総合人材サービス大手、パソナグループの社内ベンチャー第1号として、1996年に設立された。創業者であり、28年にわたってベネフィット・ワンを率いてきた白石徳生氏を直撃した。

可能なら親子上場が当然ベストだった

――エムスリーの買収提案では、ベネフィット・ワンの上場が維持されたまま、パソナグループから独立できる形でした。しかし第一生命HDに買収されることになり、上場廃止となりました。これまでのような成長が屈折するのでは?

成長が屈折することはない。

理想を言えば、第一生命HDの子会社でありながら、上場も維持される形の親子上場が可能なら、それが当然ベストだった。だが、上場していることでメリットがある一方、デメリットもある。

――デメリットとは?

上場しているとPL(損益計算書)をものすごく意識し、必要以上に株主のことを意識しながら経営しなければならない。上場しているがゆえに取れる手法が限られたりもする。

反対にメリットは、人材採用の面で有利だ。市場のニーズをくみ取りやすいということもある。世界中の投資家の話を聞き、株価への対策をする中で、われわれのサービスが顧客目線へさらに近づいていく。

経営陣のインセンティブも、ストックオプション(株式給付信託)を発行できるから、上場しているほうがやりやすい。市場が判断してくれる株価は非常にシンプル。非上場になると、評価基準を売り上げにするのか利益にするのか、達成率にするのか絶対額にするのかなど、すごく難しくなる。

――上場廃止になったことで人材が流出する懸念はないですか。

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