第一生命HDがエムスリーとのTOB合戦を制して完全子会社化した、ベネフィット・ワン。創業者である白石社長に、異例の買収劇の内幕を直撃した。
可能なら親子上場が当然ベストだった
――エムスリーの買収提案では、ベネフィット・ワンの上場が維持されたまま、パソナグループから独立できる形でした。しかし第一生命HDに買収されることになり、上場廃止となりました。これまでのような成長が屈折するのでは?
成長が屈折することはない。
理想を言えば、第一生命HDの子会社でありながら、上場も維持される形の親子上場が可能なら、それが当然ベストだった。だが、上場していることでメリットがある一方、デメリットもある。
――デメリットとは?
上場しているとPL(損益計算書)をものすごく意識し、必要以上に株主のことを意識しながら経営しなければならない。上場しているがゆえに取れる手法が限られたりもする。
反対にメリットは、人材採用の面で有利だ。市場のニーズをくみ取りやすいということもある。世界中の投資家の話を聞き、株価への対策をする中で、われわれのサービスが顧客目線へさらに近づいていく。
経営陣のインセンティブも、ストックオプション(株式給付信託)を発行できるから、上場しているほうがやりやすい。市場が判断してくれる株価は非常にシンプル。非上場になると、評価基準を売り上げにするのか利益にするのか、達成率にするのか絶対額にするのかなど、すごく難しくなる。
――上場廃止になったことで人材が流出する懸念はないですか。
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