
『管子』(改訂版)松本一男 訳/徳間文庫(※電子版のみ)
課税には、その対象の消費を抑える効果がある。所得税は「働いたら罰金」、消費税は「買ったら罰金」、固定資産税は「持っていたら罰金」の意味だと揶揄する声もあるほどだ。課税の結果、消費が止まれば、経済も不活性化するものだ。管子はそう考え、だから徴税対象の吟味こそが最重要だと主張する。
管子の説く徴税対象
例えば管子は、塩への課税を説く。塩は人間すべてが欲するものだ。ほんの数週間でも塩を摂取しなければ人間は死ぬ。しかも単価が安いから、少し課税するだけで、国家には莫大な税収がもたらされる。民は各種の増税には敏感に反応するが、塩価だけが上がる程度なら不満を抱きにくい。
鉄に課税するのもよい。個々の鉄製品にではなく、原材料の鉄に課税するところがミソだ。仮に原材料費が高騰しても、所得税、固定資産税、消費税が上がるよりはマシだ、と捉えられるからだ。
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