各国が経済立国を目指して試行錯誤を続ける中、他国を凌駕するにはどうすべきか。管子はこれに明確な回答を提示している。一節をまとめてみよう。
あるとき君主が管子に尋ねた。「隣国(魯梁(ろりょう))を滅ぼすすべはないか」。管子は「隣国は厚絹の生産が盛んです。そこでわが国でも君主以下が率先して厚絹を着用し、その厚絹は必ず隣国から輸入なさいませ」と答えた。
やがて1年もすると隣国との物流が確立し、隣国では飛ぶように厚絹が売れ、国を挙げて厚絹を作るようになった。頃合いを見計らって、なんと管子は自国での厚絹着用を禁止。隣国の絹織物業は壊滅的打撃を受け、しかも食糧不足に陥った。だが、産業構造をすぐさま農本主義に移行することもできない。かくして隣国の民は、続々と管子の君主の下に降伏してきたという。
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