
消費税減税が、今夏の参議院選挙の選挙対策になっている。国民民主党、日本維新の会だけでなく、立憲民主党も食料品への軽減税率を一時的にゼロにする方針を示した。
ただ、与党内には、執筆時点では、消費税減税に反対する声も根強い。参議院選挙対策にはなるかもしれないが、税率を引き下げて値段が下がるのは、税率を下げた年だけの効果で終わる。下がった税率のままではさらなる値下げは起こらない。そして、しばらくすると衆議院選挙の時期はいずれ訪れる。軽減税率をゼロにしても値下げ効果は終わっており、衆議院選挙対策にはならない。
野党は、「一時的に消費税率を下げる」といっている。しかし、一度下げた税率を再び元に戻すことが果たしてできるのだろうか。
「一時的」なんてできるはずもない
まず、消費税率が引き下げられると判明したら、買い控えが起きる。税率が下がるのがわかっているのに、わざわざ買い急ぐ消費者はいない。そこで、税率引き下げ前に、一時的に消費が減退する。景気押し下げ効果が先に来るのだ。
税率引き下げは一時的ということで、再び元に戻すとなると、その時は「増税」になるわけだから、逆に駆け込み需要が生じるが、税率を元に戻すと反動減で消費が減退する。
それが目に見えているのに、消費税率を元に戻すだけの政治力が果たしてどの政党にあるだろうか。長期政権を誇った第2次以降の安倍晋三内閣でさえ、消費税率を5%から8%に上げた後で、10%に上げるのに2度の延期を経て5年半もかかった。
「一時的」というのは、できるはずもないことを言っているも同然で、詐欺に近い。半永久的に下げることを目論んでいるとしか言いようがない。
だから、今般の消費税減税論議は、「一時的」というのはまやかしであって、税率を、半永久的に引き下げるのか、据え置くのか、という選択とみるべきだろう。
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