残業と対になる言葉は2つある。1つは「ワークライフバランス」(31人)だ。
「残業の有無。ワークライフバランスがとれているか」などとあり、「残業がなければワークライフバランスがとれている」と考える学生が多いことがわかる。
ただ「ライフワークバランス」や「ワークライブバランス」と誤記する学生もいる。アルバイト以外の就業体験がないので、ワークライフバランスと言っても聞きかじりのレベルなのだと思う。
残業と対になるもう1つの言葉は「プライベート」(27人)だ。
「残業、プライベートでの交流」「残業の有無やプライベートを両立させることができるのか」と書かれており、「残業がなければプライベートが充実する」という定式が成立しているようだ。
プライベートを大事にしたい
コメントを読んで感じるのは、「プライベート」の位置づけが高いことだ。「プライベート」の対語は「パブリック」、つまり「わたくし(私)」と「おおやけ(公)」になる。
「プライベート」と「パブリック」の意味は、その人の経験、年齢、地位などで変わってくると思うが、大まかに言えば、「子ども」と「大人」だ。そしてコメントを読むと未経験のパブリック(大人)に対し、忌避感が強いように思う。
就職前の学生は職業として働いた経験がないから、たぶん多くの学生にとって「入社して働く」ことがパブリックなのだと思う。それ以外の時間がプライベートだ。家族や友だちとの交流、趣味、レジャーと楽しいことが多い。
プライベートを邪魔するのが仕事、とくに時間外の残業だ。そこで学生は、「両立」できるかどうかを気にしている。
「残業時間、プライベートとの両立」
「仕事とプライベートの両立について」
こういう価値観は学生の内発的なものではなく、マスメディア、就活サイト、SNSなどの情報に影響されているはずだ。とくに大きな影響を及ぼしたのはコロナ禍だ。この3年間で、働く場所と時間に対し大きな関心を抱く学生が増えている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら