千葉雅也「思考を効率化しない事」がなぜ重要か 話題の哲学書『現代思想入門』の著者に聞く

地道に積み重ねていくことで自然と色々考えるように
── 前回は、私たちの思考は二項対立(2つの概念が対立・矛盾した状態)に縛られていること、そしてその中間のグレーゾーンにこそリアリティがあるということを語っていただきました。こうしてお話を伺うことで、気づきを得られた実感があります。
千葉:『現代思想入門』の読者からは、普段頭の中で考えている言葉の“解像度”が上がったなんて感想をいただいています。つまり二項対立という対立構造に対して、客観的に捉えることができるようになった、ということですね。少し引いて、俯瞰するという。
── そもそも哲学って、もっと難解なイメージがあったので、新鮮だったというか。でもその一方で、これを自分の中で一過性に終わらせたくないという気落ちも芽生えてきました。
千葉:確かにハイデガーとかカントとか、有名な哲学者の本は難しいかもしれないけれど、僕の本のような入門書や若手の人が書いた哲学的な本を読むのでもいい。入り方はいろいろですけど、地道に積み重ねていくことで、日常の中で自然と色々考えるようになっていくと思います。
