千葉雅也「なぜあなたは哲学を学ぶべきなのか」 現代社会を生きるビジネスパーソンが知る意義
──いきなり直球な質問ですみませんが、そもそも “哲学”とは何なのでしょうか?
千葉:哲学とは、物事を少し深く、抽象的に考えてみるということです。
──深く抽象的にというのは、私たちが普段見ている目線を変えるということでしょうか?
千葉:普段の目線より引いたところから見ると言ったほうがいいかな。例えばビジネスシーンでこうすべきだ、ああすべきだということで、2つの意見がぶつかっているとする。すると「君はどっち側に立つんだ?」と選択を迫られますよね。仕事なのだから、どちらかに決めなきゃいけない。つまり片方を諦めなければいけないと。仕事の場に限らず、例えばネットを見ていると、毎日のようにいろいろな話題で、いろいろな対立が演じられていて、「白黒はっきりさせろ!」という状況がすごく多い。
状況に埋没しないというのが哲学の基本姿勢
──そうですね。Twitter上の意見のぶつかり合いを見ていて、疲れてしまうこともあります。
千葉:僕もTwitterを長くやっていますけど、昔はもっとみんながそれぞれ日常の勝手なことを、ひとりごとのようにつぶやいていました。でも東日本大震災の前後あたりから、災害情報とか、原発に関する政治の問題とかで、ワーッと新しい人が流入してきて、かなり雰囲気が変わっていった。