千葉雅也「なぜあなたは哲学を学ぶべきなのか」 現代社会を生きるビジネスパーソンが知る意義

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いま話題の哲学書『現代思想入門』の著者・千葉雅也さん。現代社会を生きるビジネスパーソンへ向けた、リアルで奥深い哲学の話をお届けします(写真:KAOLI)
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いま、『現代思想入門』(講談社現代新書)という本が、哲学書としては異例のベストセラーになっています。著者の千葉雅也さんは大学教授として学生に哲学を教える一方で、美術・文学・ファッション・建築・音楽など幅広いジャンルでの批評活動を行いつつ小説家としての顔ももつというマルチな存在。そんな千葉さんに現代社会を生きるビジネスパーソンへ向けて、哲学の意味とそれをいま学ぶことのメリットを教えてもらおうという企画です。

──いきなり直球な質問ですみませんが、そもそも “哲学”とは何なのでしょうか?

千葉:哲学とは、物事を少し深く、抽象的に考えてみるということです。

本記事はLEON.JPの提供記事です

──深く抽象的にというのは、私たちが普段見ている目線を変えるということでしょうか?

千葉:普段の目線より引いたところから見ると言ったほうがいいかな。例えばビジネスシーンでこうすべきだ、ああすべきだということで、2つの意見がぶつかっているとする。すると「君はどっち側に立つんだ?」と選択を迫られますよね。仕事なのだから、どちらかに決めなきゃいけない。つまり片方を諦めなければいけないと。仕事の場に限らず、例えばネットを見ていると、毎日のようにいろいろな話題で、いろいろな対立が演じられていて、「白黒はっきりさせろ!」という状況がすごく多い。

状況に埋没しないというのが哲学の基本姿勢

──そうですね。Twitter上の意見のぶつかり合いを見ていて、疲れてしまうこともあります。

千葉:僕もTwitterを長くやっていますけど、昔はもっとみんながそれぞれ日常の勝手なことを、ひとりごとのようにつぶやいていました。でも東日本大震災の前後あたりから、災害情報とか、原発に関する政治の問題とかで、ワーッと新しい人が流入してきて、かなり雰囲気が変わっていった。

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