千葉雅也「なぜあなたは哲学を学ぶべきなのか」 現代社会を生きるビジネスパーソンが知る意義
──著書の冒頭で、現代思想を学ぶと「複雑なことを単純化しないで考えられるようになる」「単純化できない現実の難しさを、以前より『高い解像度』で捉えられるようになる」と述べていましたが、そういうふうに具体的に見ることが、“高解像度”で捉えることにつながるということですね?
千葉:まさに。でもそうすると話がわかりにくくなるから、人は嫌がるのですよ。
異質なことを言うのは、意味がある
──みなが「よし」とする側にいたほうが楽ですものね。
千葉:やっぱり怖いし、そのほうが無難に、定常的に利益を得られるから。でも例えばビジネスの原則というのは逆張りであって、ほかの人と違うことを言って、ある種の差別化をするということが価値になるわけでしょ。なにかちょっと異質なことを言うのって、意味があると思いますよ。できないですから、意外と。
──何か違うことを言うと、Twitterでやり玉にあげられたり。
千葉:流れに逆らうのが難しくなってきているから、まあ大変ですよ。僕もちょっとしたことで、すごく素朴な批判を受けたりするし。
──でもそこはあえていとわない気持ちを持とうと?
千葉:哲学の根本はそこですから。
(構成・文/矢吹紘子 写真/KAOLI)
1978年栃木県生まれ。パリ第10大学、高等師範学校を経て、東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士(学術)。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。フランス現代思想の研究と、美術や文学、ファッションなどの批評を展開し、小説にも取り組んでいる。著書に『勉強の哲学 来たるべきバカのために』『ツイッター哲学 別のしかたで』『意味がない無意味』など。『デッドライン』で第41回野間文芸新人賞、「マジックミラー」(『オーバーヒート』に収録)で第45回川端康成文学賞。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら