在宅勤務増えて加速する日本の職場の「昭和化」 ポストコロナ時代の働き方はどう変わるのか

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東松:そこで生まれる雑談も、オフィスの大きな価値になっていると思います。Zoomが一気に流行った時に、合理化・効率化の観点から、雑談も「無駄」なものとして排除されました。

でも、その結果、会議も想定の範囲内で終わってしまい、想定外の化学反応が起きにくくなった。会議の前後の「曖昧」な時間の中で生まれていた雑談って、実はすごく貴重だったんだなと……岡本さんのオフィスにはそういう曖昧な空間が意図的に設計されていて、うらやましいなと思いました。

岡本:ただ、オフィスはそのように設計したけど、リモートの中で雑談や偶然のコミュニケーションをうまく発生させる方法は、僕たちもまだ見つけられていないんです。「オンラインのランチ会」みたいなことはできるけど、どうしても作為的、計画的になってしまう。そうではない、偶発的なコミュニケーションをどうやってリモートの中で生み出していくのかは、今も試行錯誤を繰り返しているところですね。

リモートワークで働き方が「昭和」に戻った?

東松:働き方に関して言うと、世の中的に「あまり働きすぎるな」という風潮がありますよね。きっちり勤怠管理してなるべく残業させない、みたいな。仕事は仕事、プライベートはプライベートと区切られちゃって、そこも曖昧な時間がなくなっている。

(撮影:尾形 文繁)

岡本:そうですよね。一方で不思議な現象だと思うのが、昔は勤務中に「病院に行ってきます」「子どものお迎えに行ってきます」と言いにくかったのが、リモートが普及してからは「ちょっと抜けてきます」がOKになっている。リモートによって、逆にオンとオフがうまく融合している側面があるんです。

僕の中では「昭和(戦前)に戻った」と見ています。戦前の昔は、会社組織で働く人より個人商店を営んでいる人が大半で、お母さんが子育てしている横でお父さんが働いているといった、生活の中に職場が溶け込んでいました。それが、戦後から高度経済成長期にかけて企業組織ができて、地方から大都市に来て集団で働くようになり、だんだん「職」と「住」が離れていきました。

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