在宅勤務増えて加速する日本の職場の「昭和化」 ポストコロナ時代の働き方はどう変わるのか
業務の特性によってもリモートとリアルの最適な割合は違うことがわかってきました。当社の例で言うと、営業職のメンバーは、社内で情報共有や意見交換をする中で物事が決まることが多いので、客先に出ていても直帰せずオフィスに戻る人が増えましたね。それと、新入社員が入った部署などは、チームビルディングの必要があるので、出社の割合が高まっています。
東松:岡本さんの会社では、一律ではなく、部署によってベストな出勤の割合を選択できる設計にしているのがいいですね。
それと、最近になって顕在化したのは会社への「帰属意識」の差です。例えば、上司が「オフィスで会議しよう」と言っても、部下の側は「なんとなく『会議しようよ』と言われてわざわざ出勤するのはイヤだ」と感じている。
その世代間の意識の差が、これまではグラデーションになっていたのが、リモートの普及でスパっと色分けされたイメージがあります。そこがもう少し寄り添えるといいなと思うのですが……岡本さんの会社ではどう工夫していますか?
オフィスの中に「バー」を作ったら…
岡本:すごく難しい課題ですよね。当社でも部署や階層を超えたつながりや、帰属意識を高めることは意識して取り組んでいます。例えば、コロナ前から導入しているのが「部活制度」。今いちばん盛り上がっているのが「ボードゲーム部」で、“部員”が定期的に集まってボードゲームをワイワイ楽しんでいます。
東松:そんな部活があるんですね! 自然と仲良くなれそうです。
岡本:あとは、2022年3月に創業10周年を迎えたのを機にオフィスを移転したのですが、新しいオフィスの中に「バー」を作りました。40代前後の世代ならご存じかもしれませんが、その名も「ルイーダの酒場」(笑)。実際にお酒も置いてあって、仕事を終えた社員がふらっと立ち寄ってボードゲームに興じたり、それを見ながらお酒を楽しんだりしています。
東松:すごいですね! これまでのオフィスは「毎朝決まった時刻に行かなければいけない場所」でしたが、なんだかオフィスの概念、定義が変わりますよね。
岡本:おっしゃるとおりで、今回のオフィスの移転に際して「オフィスの価値って何だろう?」と改めて考えました。そして、「リモートが主体だけど、オフィスに行ったらコミュニケーションやコラボレーションが自然と発生する空間にしたい」とオフィスの価値を再定義したんです。たぶんコロナを経験していなかったらそういう発想にはなっていなかったと思いますね。