「年収200万円で豊かに暮らす」ではマズい理由 2003年には年収300万が低い年収の象徴だった

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いずれにせよ、雑誌での紹介の仕方には工夫が要った。食費を月2万円で収める達人は必ず料理上手で手間を惜しまず、こまめに安い店を探したり、大量にまとめ買いしては1週間分のおかずをまとめてつくって冷凍する。しかも、その料理がちゃんと栄養的にも過不足なく、盛り付けもステキでないと、誌面を読んだ人に訴えない。

そう、「爪に火を点す」のではなく、「豊か」に感じられないと誰も支持してくれないのだ。今なら、そういう達人はYouTubeでガッツリ稼いでいるだろう。節約にも手間と努力とセンスが絶対的に必要なのだ。

しかし、2022年には「年収300万円」が当たり前になり、例のムックではもっと低い「年収200万円」を採用したのだろうが、それも今や「平均的な人から見た低い収入」ではなく、「現実味のある日本の年収」と怒りを買ったということではないだろうか。

「年収200万円」の人はかなり多い

では、日本には「手取り年収200万円」の人がどのくらいいるのか。政府が公表している調査は、税や社会保障を引く前の数字が多く、手取り額ではない。なので、手取り年収200万円(というか200万円台)の人は、実際には額面300万円台の人だろう。

まず「国民生活基礎調査」(厚生労働省)を見る。2020年の調査がコロナ禍で中止になったため、2019年のデータが最新となるが、平均所得金額は552万3000円だが、所得を並べて2等分した中央値は 437万円。この中央値以下に入る世帯の割合が大きい。

さらに所得の分布状況を見ると、「200万~300万円未満」が13.6%、「300万~400万円未満」が12.8%。家族構成にもよるが、額面370万円、380万円でも手取りでは200万円台に入ることもある。割合を見ても、決して少ないわけではないのだ。

なお、この調査は働いている人も年金世帯も含んでいるが、働いている世帯が全体の7割以上を占める。そのため年金生活者が年収が低い世帯の割合を上げているわけではないようだ。

もう少し新しい数字として、国税庁「民間給与実態統計調査」(数字は令和2年度)も見た。

先の基礎調査とは異なり、世帯ではなく一人当たりだが、給与所得者の1人当たりの平均給与所得は433万円で、男性532万円、女性293万円。それを細かく見ていくと、300万円超400万円以下が913万人(構成比17.4%)で最も多く、次いで200万円超300万円以下の者が814万人(同15.5%)となっている。先の数字と似たり寄ったりだ。

これを見る限り、「手取り年収200万円」は多くの人にとってそうとう現実味がある数字といえる。

次ページ安さを追求していくと…
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