日本人は「生物多様性」のど真ん中に生きている 茶道の文化から「命のつながり」が見えてくる

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その生物多様性は、今危機にさらされています。とくに20世紀以降の100年間に、私たちは多くの自然資本を使い続け、今や1970~2016年の間に世界の哺乳類や鳥類などの脊椎動物の個体は平均して68%も消失しているのです。

さまざまな資源をもたらす生態系は、非常に微妙な生命のバランスで成り立っており、一度壊してしまうと、人の力では完全な形に戻せません。この流れを変えてゆかなければ、地球の自然環境と生物多様性は、失われ続けてしまいます。

茶道文化にも見られる影響

茶道文化にも影響が忍び寄っています。お茶人は客をもてなすために、お茶事では、炉の置き方を季節によって変えていきます。

写真1:冬は寒いので、畳の中に埋め込んだ炉で、炭をおこして釜をかける(客人は煙草盆の前) 
写真2:少し涼しくなる10月は中置き:風炉と呼ばれる畳の上に置くタイプの炉を使って、客人から火を少し離していく
写真3:暑い夏は、風炉を客人から遠くの位置に置いて火をおこす

冬は寒い時期なので、客人が暖かいように、釜を客人のそばに置きます(写真1)。一方10月になると中置(なかおき)といって少し寒くなってきたことを反映して、釜を中間の位置に移動させるのです(写真2)。

そして夏は暑い盛りなので、釜は客人から遠くに離して、涼しげな水差し(お茶に使う水がはいっている)を客人側に置きます(写真3)。

しかし、地球温暖化で年々夏は猛暑になり長くなっており、2100年頃には30度以上の真夏日が100日を超えると予測されています。もはや「炉の置き場所」で季節感を表す、というのは、過去の話として語り継がれるしかなくなりそうです。

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