同時多発熱波が頻発、世界で特に「危ない地域」 温暖化のインパクトは気流変化でさらに過酷に
アメリカでは何百万という人々が再び厳しい暑さに苛まれている。6月中旬には熱波がヨーロッパ全土を覆い、フランスやスペインの一部地域では例年なら7月や8月に訪れるような暑さに見舞われた。中国南部では大雨による洪水が発生した一方で、北部と中部は高温にさらされた。またインドの一部地域では、モンスーンによる降雨が始まって以降は幾分緩和されたとはいえ、3月から異常な暑さが続いている。
これら4つの主要経済圏でほぼ同時期に発生した深刻な熱波の直接の原因が気候変動だと断じるのは、時期尚早かもしれない。ただ、これらの国々が温室効果ガス排出量で世界の上位を占めているのも事実だ。
同時多発的な熱波が特定地域で頻発
地球温暖化で猛暑が世界的に増加する中、人類が引き起こした温暖化のせいで特定の気象現象が一段と頻発し、激しさを増したのかどうかを科学的に見極めるには、より踏み込んだ分析を待たなければならない(ちなみに、インドで今春起こった猛烈な熱波について調査した研究者チームは、気候変動によってこうした熱波の発生確率が30%も増加したと結論づけた)。
それでも、近年は同時多発的な熱波が特定の地域を中心に各地で頻発しているように見受けられる。その理由は、世界の気圧配置に影響を与えるジェット気流やその他の大気の流れと関係がありそうだ。
研究からは、北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの各地域はこうした大気の流れでつながっていることが明らかとなっている。科学者たちは、地球温暖化の進行に伴って気流のパターンがどう変化していくかを見極めようとしているが、現時点では、世界の経済活動の大部分が集中するこれらの地域では今後も極端な同時多発的熱波の影響が続くと予想されている。