東京の「太陽光義務化」がこうも話題になった理由 住宅政策の中では異例となった関心の高さ
かつて、これほどまでの広範さで関心を持たれ、議論された「住宅政策」があっただろうか――。
新築住宅へ太陽光発電設置を義務化するという東京都の条例案について、ネットを中心に、おそらく都民以外の人たち、さらには住宅取得に関心をもっていない人たちも意見を発信していたようだ。熱心な発言が交わされる中で、筆者はその様子を興味深く眺めていた。
論破系ユーチューバーも発言していたし、6月11日付では何と、ゴシップ系夕刊紙でこの問題に関する「緊急アンケート」を実施し公表までしている。これは最近はやりの言葉「バズ」ったと表現してもいいだろう。
「東京ではこれまで以上に住まいを取得しづらくなるのではないか」などといった否定的な意見が多かったようだが、いずれにせよその住宅政策に関する議論の白熱ぶりはこれまでに見られなかったことである。
「改正建築物省エネ法」は知っていますか?
住宅政策にはこれまでにもさまざまなものがあり、業界関係者の中ではそれなりの活発さを持って議論されてきた。しかし、一般の人たちにはあまりなじみのないものであった。例えば、「改正建築物省エネ法」と比較するとわかりやすいだろう。
東京都の条例案の議論が白熱するさなかの6月13日に国会で可決・成立したものだ。
内容は2025年度以降に全国「すべての新築住宅を対象に省エネルギー基準への適合を義務化する」というものである。
これについては立法化に至る段階も含め、いち自治体にすぎない東京都の条例ほどの幅広い関心は示されなかった。同じ住まいの省エネ化、義務化、しかも全国を対象としたものであるにもかかわらずだ。
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