東京の「太陽光義務化」がこうも話題になった理由 住宅政策の中では異例となった関心の高さ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ところで、議論が白熱した要因には、冒頭で紹介したように、多くの人たちが「今後は住宅取得が今まで以上に難しくなる」と、潜在的に感じているからだろうと思われる。これには昨今の物価高も影響していると見られる。

いずれにせよ、現状で省エネ性を高める対策がないとしてめぼしいものがない以上、太陽光発電の設置推進という方向性はもはや止められないだろう。それは、世論の盛り上がりに比して、事業者からの反応がほとんど見られなかったことからもわかる。

余談だが、一部には省エネ強化の動きに抵抗感を持つ事業者も存在する。というのも、それは売価の上昇につながるし、何より設計や工事の難度が高まる、つまり面倒くさいからだ。とは言え、多くはこの動きを既定路線と捉えている。

お湯を沸かすのと同時に電気を創り出す家庭用燃料電池「エネファーム」。これも創エネ設備の1つだが、現状では創エネの補完設備としてのポジションにとどまっている(筆者撮影)

何でもそうだが、東京の動向は全国に波及する。太陽光発電設置義務化の動きも同様だろう。東京都にはぜひ、規範になる条例の施行、運用を期待したい。最後に、今後住宅を取得する人たちに向けお伝えしたいことがある。

ダウンサイジングやストック住宅取得も視野に

太陽光発電の設置、省エネ基準への適合は、イニシャルコストを押し上げ、それにより住宅取得が難しくなることは避けがたいが、対処法がないわけではないことだ。ここでは大きく2つ紹介するが、1つは延べ床面積のダウンサイジング化だ。

例えば、これまでは4LDKに家族4人で暮らすことが平均的な住まい像とされてきた。これを3LDKにまで間取りを減らすことで、建物の大きさが小さくなり、建築や取得にあたってのコストを低減できる。

近年の平均世帯人数は3人に近づいているから、3LDKでの暮らしでも不自由しないという世帯も増えているのではないか。また、設計を工夫することで、狭さを感じさせない住まいにできる提案力を有する住宅事業者も増えている。

もう1つは、ストック(中古)住宅の購入。省エネ性が気になる人は、断熱リフォームを施すことで、新築よりは取得費用を低減できる可能性がある。広さや部屋数を重視するなら、郊外を視野に入れるといいだろう。

要は、従来のステレオタイプな住まい像にとらわれないことが大切ということ。そういう意味では、今後、消費者には選択肢をさらに広げること、事業者や設計提案の善しあしをより厳しく見極める能力がますます求められることになるだろう。

田中 直輝 住生活ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

たなか なおき / Naoki Tanaka

早稲田大学教育学部を卒業後、海外17カ国を一人旅。その後、約10年間にわたって住宅業界専門紙・住宅産業新聞社で主に大手ハウスメーカーを担当し、取材活動を行う。現在は、「住生活ジャーナリスト」として戸建てをはじめ、不動産業界も含め広く住宅の世界を探求。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事