ネット時代、「新聞」はどう読むのが、効果的なのか 知るべき「3つの大前提」と「読む秘訣」は?

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「2つめの大前提」は、新聞の発行部数が減った影響で「各新聞社は社会的な立ち位置を明確にせざるを得なくなった」ことである。正しい情報を得るためにも知っておいてほしいことだ。

【大前提2】各紙の「政治的立ち位置」は、左右が明確になった

たとえば経済で考えてみよう。

ネット上では2010年代以降、大胆な金融緩和と財政出動を求める「反緊縮派」と呼ばれる経済学者を中心とした人々と、過大な財政出動は国の財政赤字を増やしてしまう危険があると主張する「緊縮派」のあいだで、熱い議論が闘わされている

しかし、たとえば『朝日新聞』などの記事には「反緊縮派」の主張が紹介されることは比較的少ない。また新聞社の専門記者自身の意見も「緊縮派」に寄っていることが多い。

この背景はいろいろ取り沙汰されているが、新聞社のニュースソースが主に霞が関の官僚であり、「緊縮派」の牙城である財務省の影響を新聞社が大きく受けていることが指摘されている。

政治に関する記事も、問題が少なくない。1990年代末、世紀が変わるころまでは、どの新聞社も比較的に不偏不党で、政治には中立的だった。

しかし、21世紀になってインターネットの影響力が強まり、新聞の部数が激減して構造不況になっていくなかで、各紙の政治的立ち位置は、逆に左右に明確になってきてしまった。

『東京新聞』は、以前は都会的でわりに気楽で、中庸的な印象の新聞だったが、いまは左派的な立ち位置を非常に強くしている印象を受ける。

『産経新聞』は、以前から保守系の新聞だったが、最近はますます右派の色が濃くなり、『東京新聞』やその記者を紙面で公然と非難したりしている。

新聞は「有料デジタル版」を定期購読

わたし自身についていえば、一般紙にはまったくお金を払っていないが、先ほども紹介した『日本経済新聞』と『ウォール・ストリート・ジャーナル』はウェブで定期購読している

経済という非常に幅広く、さらに深い知識も同時に必要とされる分野の知見を得るためには、この2紙はとても価値が高いのだ。

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