どうなる通勤手当…「地方移住派」が知るべき知識 出社を求めない会社が増えるなか考えたい4つ

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傷病手当金の金額は、「1日につき標準報酬日額の3分の2」になっています。この「標準報酬日額」とは、傷病手当金の支給を開始した日以前12カ月間の標準報酬月額の平均額を30で割って計算します。ざっくりですが、標準報酬月額が1年ずっと30万であれば、1日について約6666円をもらうことができ、1年6カ月分受給することができるわけです(協会けんぽ)。

出産手当金は、女性が産前産後期間にお休みをし、給与が支給されない期間に対して、原則98日分支給されます。金額は傷病手当金と同じ計算方法です。

社会保険の給付金を多くもらうには

このように社会保険の給付金は、標準報酬月額をベースに計算されるので、標準報酬月額が高くなれば、その分給付金も多くもらえるわけですが、反対に損してしまうものとして高額療養費があります。高額療養費は、1カ月に負担した医療費が一定額以上となった場合に還付してくれる制度です。この一定額の基準が標準報酬月額によって4段階に分かれており、標準報酬月額が高くなるほど還付される額が少なくなってしまいます。

高額療養費については、事前に手続きを行い「限度額認定証」を発行してもらえば、病院での窓口負担を直接抑えることができます。大きな金額を用意し、一旦病院に支払う必要がなくなるので、手術などあらかじめ医療費が高額になることがわかっていれば是非活用することをおすすめします。

このように、地方移住してたまに通勤するという場合、さまざまな影響が出てきます。会社によってルールもまちまちであり、社会保険にも影響するので、後で後悔しないように自社の就業規則を事前に調べておくことが大切です。

武澤 健太郎 大槻経営労務管理事務所社員役員、特定社会保険労務士

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たけざわ けんたろう

社会保険労務士法人 大槻経営労務管理事務所 労務コンサルティング事業部執行役員(銀座第3室室長兼務)。2011年9月に経営労務監査プロジェクトのプロジェクトリーダーとして、数多くの労務監査を手掛ける。2012年5月に特定社会保険労務士を付記するとともに、多数のクライアントより個別労使紛争を含む労務相談を受ける。そして、2013年9月には、海外進出プロジェクト担当リーダーに就任し、アジアを中心とした海外進出に必要な労務管理、労働社会保険のアドバイスを積極的に行っている。
 

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