イオン「価格ほぼ凍結」歓迎できない取引先の本音 原材料高でもトップバリュ値上げは3品目のみ

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実際、足元で消費者の購買は割安感のあるPBへとシフトしているようだ。

インテージの調査によると、全国のスーパーでの食品販売における2022年5月のPB比率は、メーカーの値上げラッシュが本格化する前の2021年3月と比べ、キャノーラ油で10ポイント、マヨネーズで5ポイント以上それぞれ上昇。NBの値上げ幅が大きい品目ほど、PB志向が高まっている傾向が見て取れる。

メーカーとの直接取引で大量発注するPBは仕入れコストを抑えられるため、小売り側の利益率はNBと比べ相対的に高い。原材料価格上昇の打撃は当然受けるが、イオンでは値上げ回避のため、包装の簡易化や配送方法の効率化などによるコスト削減を積み重ねた。

例えばウィンナーでは包装を変更することで、プラスチックを3割ほど削減し、商品の体積が減ったことで配送効率も上昇したという。

安さを先導する「プライスリーダー」?

価格据え置きで消費者の支持は拡大する一方、取引先からは悲鳴も聞こえてくる。

トップバリュは、イオンと資本関係を持つ地方スーパーなどでも広く販売されている。トップバリュを取り扱うスーパーの関係者は「(イオンからの)仕入れ価格は上がっていて、扱いが難しい」と明かす。凍結宣言などにより小売価格を上げづらい状況が続く中、トップバリュは売れたところでうまみの乏しい商品になっているようだ。

製造を受託するメーカーの間でも、価格据え置きに対して歓迎ムードは薄い。大手メーカーの多くは自社ブランドのNB商品も製造しているが、値上げしたNBとPBの価格差がさらに広がれば、店頭でNBの販売シェアを奪われかねないからだ。

メーカーにとってイオンのPBは大口発注となるため、工場の稼働率維持を考えると離脱しづらい。ある食品メーカーの幹部は「大手スーパーのPBは安さを先導する『プライスリーダー』だ。適正な値上げをしてほしい」と苦言を呈する。

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