坂上忍さん「保護活動を商売に」に込められた意地 犬・猫の保護ハウス「さかがみ家」が目指す未来

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――将来的にフランチャイズ展開をしたいと考えているのは、自力で運営できる保護施設を増やすためだけでなく、横のつながりを作ろうと考えてのことなのかなと。例えば、横浜でレスキューの必要がある犬を広島から保護しに行くなんてナンセンスですよね。横のつながりがあれば、横浜の団体に依頼できます。そうすれば犬にも負担がかからないし、交通費の負担もないし。

坂上:なんでそこにお金と時間をかけるのって話ですよね。それに保護する犬や猫のキャパシティーの問題も、協力し合うことで解決していけると思うんです。そういうことも含めて、千葉県を拠点に47都道府県に1つずつ自力運営の保護施設を置いて、そこがハブになって活動していけば、横のつながりができて、永続的に維持できます。それを統括できるシステムと、収益を上げられるシステムをいかに構築するかですが……。

まだ何も成し遂げていませんが、やれないことはないような気がしています。あとはやりようですよね。今は何となく善意のもと、みんながバラバラで保護活動をしているから、僕はそれをどうにかできたらいいなと。

――自分の考えを曲げたくないし、貫き通したいしということですよね。

坂上:僕は「善意の悪」ってあると思っていて。要はちゃんと組織立ててやっている方だけでなく、組織に属せない方もいて、そういう人は自我だけで保護活動をやっているから周りが見えにくい。いい人なのに絶対に意見を譲らないとか、もうちょっと大人になりましょうよと思いますね。

――根底にある思いは一緒なんですけれどね。

坂上:向いている方向は同じです。だからこそ、協力すればすごくスムーズなのに、と思うことが多々あります。まずは業界をみんなで押し上げないといけないのですが、そうなる前に足の引っ張り合いが始まってしまう。「主役は誰なの?」と思うんですよ。

動物保護とか動物愛護とか、そういう言葉が適当かわからないですが、こういうことをやろうとすると、現場重視の人もいれば、法改正を声高に訴える著名人も多くいます。でも、僕はどちらがいいとかではなくて、基本は「うんちは拾いましょう」というところからなので。それをやりながらアイデアが生まれて、法改正も頑張ろうと考えています。重要なのは、あくまでもちゃんとお世話をすることで、僕はどうしてもこの環境がほしかったんです。

(この記事の後編:坂上忍さんが危惧する「日本の保護活動の行く末」

今年4月にオープンした「さかがみ家」(写真:著者提供)
阪根 美果 ペットジャーナリスト

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さかね みか / Mika Sakane

世界最大の猫種である「メインクーン」のトップブリーダーでもあり、犬・猫などに関する幅広い知識を持つ。家庭動物管理士・ペット災害危機管理士・動物介護士・動物介護ホーム施設責任者・Pet Saver(ペットの救急隊員)。ペットシッターや保護活動にも長く携わっている。ペット専門サイト「ペトハピ」でペットの「終活」をいち早く紹介。豪華客船「飛鳥」や「ぱしふぃっくびいなす」の乗組員を務めた経験を生かし、大型客船の魅力を紹介する「クルーズライター」としての顔も持つ。

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