坂上忍さん「保護活動を商売に」に込められた意地 犬・猫の保護ハウス「さかがみ家」が目指す未来
――確かに、新しいことを始めるのには、かなりの熱意やエネルギーが必要ですからね。
坂上:おっしゃるとおり、そういったものがないと力を貸してくれる方も寄ってこないと思うんです。やっぱりパワーがあれば、「あいつ、何かやり始めたけど大丈夫か?」と声をかけてくれると思うので。
どう考えても僕がやろうとしていることは、いろいろな人の力がないと成立しません。だから、還暦までには何とかかたちにしたい。5年で何とかカタチにしたいですね。
――「さかがみ家」を作る際には、どんなことを重視したのですか?
坂上:施設名を「さかがみ家」としたように、「家」にしたくて。僕はある程度の広さと清潔感、そして何よりも「人間と暮らす」ということを重視しています。もし、人間を信用できなくなった子がいるならば、ここで人間と暮らして、「ああ、人間と暮らすのも悪くないなあ」と思ってもらってから、里親さんのところに行ってほしい。
どれだけ保護して、どれだけ里親に出しましたという数を追う気はないです。数字に目がいってしまうと、結局、そこの環境が「いやいや、運搬業者じゃないんだからさあ」という状況になってしまうのでね。
金属だと音がするのでケージは木製
――動物愛護団体によっては、飼育ケージを何段にも積み上げてという環境になっていますからね。
坂上:もう「大型量販店じゃないんだから」というぐらいケージが積み上げられているところもありますよね。だから「さかがみ家」ではのんびりしてほしいと思って。この環境であれば、僕らはあまりやることがないんですよ。自分たちで楽しんでいますから。お世話をする人もあくせくせずに「その子」のことを見てあげられるし。数を追ってしまえば、それはできませんから。
ケージも金属だと音がするので、木製で作りました。金属のあの音が嫌でね。でも、木製にしたら「ケージをガジガジとかじられる」とか、もういろいろと言われました。でも、「好きなように言ってくれ」と思ったんですよ。かじられた跡も味になるし、直せばいいし、模様替えなんていくらでもできるので。
悲しかったのは、「こんな環境のところにいたら、どんな里親さんの家よりもこっちのほうがいいということになるんじゃないですか?」と言われたことですね。もうその時は「あんたらプライドがないの?」と腹が立って。もちろん、最低限必要とされる飼育環境はあります。でも、里親さんがどれだけの愛情をかけられるか、時間をかけられるかっていう、そっちのほうが大事なわけで、家が4畳半1つのアパートだって、ドッグラン連れて行ったり、散歩に連れて行ったりすればいいだけだろうと思うんですよ。なんかケチつけたがるんですよ(笑)。
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