インフレ加速なら老後資金は5000万円必要になる 物価上昇時代に不可欠な投資への「マネーシフト」

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現金の価値が下がるインフレ時代には、投資で資産を守る必要がある(デザイン:鈴木聡子、画像:Getty Images)
デフレが終わり、モノの値段が上がるインフレが到来。資産の攻めと守りには、現預金から投資へのマネーシフトが欠かせない。
6月27日発売の『週刊東洋経済』では「インフレ時代の資産運用術」を特集。『日本版FIRE超入門』の著書があるファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏が、インフレ時代で変わる老後の備え方を解説する。

今ほど老後に向けた資産形成や経済的安定への期待が高まっている時はない。いわゆる「老後2000万円問題」は公的年金に上積みする老後資産の形成の重要性を教えてくれた。近年若者を中心とするFIREブームも、資産運用を活用した早期からの資産形成を促している。ちなみにFIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、経済的独立と早期リタイアを目指すマネープランのことだ。

実質リターンで考える

しかし、インフレ時代において資産運用のルールには大きな変化が生じる ことを今の現役世代は知らない。急速に進むインフレをきっかけに、20年以上にわたって不要だった「新しい投資のルール」を押さえる必要がある。

週刊東洋経済 2022年7/2特大号[雑誌](インフレ時代の資産運用術)
『週刊東洋経済 2022年7/2特大号[雑誌](インフレ時代の資産運用術)』(東洋経済新報社)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら

まず、資産運用の成果については「インフレ率控除後の実質リターン」を考えよう。

リスクを取った資産運用の成績はこれまで、そのまま自分の資産価値の増加を意味していた。運用で4%増えれば資産価値も4%増える。当たり前の感覚だった。

ところがインフレ時には、3%のインフレが生じたときに3%のリターンを得ても、「実質的にはプラマイゼロ」と考える視点が必要になる。年6%増やして「これは大きく増えた」と考えるのではなく、インフレ率を横目に見て「実質的にはプラス3%(=6%−3%)」だと考える。

言い換えれば、インフレ率3%のときに、年0.01%の定期預金は利息分お金が増えているわけではない。それどころか「実質マイナス2.99%」と理解する必要があるのがインフレ時代だ。

インフレ率を考慮した視点はなかなか持ちにくい。物価上昇率は毎年変動するため一律ではないし、何年か積み重なるとさらに比較は難しくなる。だが、インフレ時代には「実質的な運用成績は何%か?」という意識が欠かせない。

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