インフレ加速なら老後資金は5000万円必要になる 物価上昇時代に不可欠な投資への「マネーシフト」
資産運用における次のテーマは「目標額の上方修正」だ。これも低インフレ、デフレ時代には必要がなかった発想だ。
例えば「老後に2000万円」という資産形成目標があったとする。実はこの目標、2010年でも20年でも基本的には変化がなかった。インフレがなかったからだ。しかし、30年あるいは40年以降を見据えた老後資産の形成目標は、インフレの影響を受けると考えなければならない。
物価上昇により必要額は上昇
現在の「老後に2000万円」は、公的年金に月5万〜6万円程度を上乗せしてセカンドライフを過ごすイメージだった。だが、物価上昇によりその必要額は上昇する。
仮に年2.5%の物価上昇が10年続くと、「老後に2000万円」ではなく「老後に2560万円」が必要となる。これが20年継続すると、「老後に3277万円」へと大きく化けてしまう。
インフレ率がさらに高いと目標額も大きくなる。年5%のインフレが続くとすれば、「老後に2000万円」が10年で「老後に3258万円」、20年で「老後に5307万円」まで上昇する。
ウソのようだが毎年5%の値上げが20年続くと、1000円のラーメンは2650円に値上げされる。インフレにより、老後に必要なすべてのコストが大きく上がると覚悟しなければならない。
今までは、資産運用で増やせば増やすほど目標へ近づくという感覚だった。だがインフレ時代の到来で、目標がインフレによって遠ざかることになる。
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