中央大学を「中退」した33歳フリーライターの末路 夢のため自分を追い込み予想より追い込まれる

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さまざまなことを天秤にかけた結果、選んだ中退という道。決断したのは4年生の時で、周囲が卒業式を迎えようとする中で、ひとり退学届を出した。

「『あと少しで卒業できるんだから、中退はやめておけ』という友人も当然いて、実際かなり悩みました。でも両親からは、とくに反対されなかったですね。基本、放任なので『自分でよく考えろよ』みたいな感じでした」

在学中からガジェット系の月刊誌の仕事を請けていた三上さんは大学中退後、大学時代に知り合った編集者を頼り、まずその編集プロダクションで働くことになる。

「正社員でしたが給料は12万円〜15万円くらいだったと思います。仕送りで家賃とケータイ代をもらい、バイトしまくっていた学生生活のほうが全然余裕あるなと思った記憶がありますね。

社会保険とかも入ってないし、給料は茶封筒で手渡しだし、『昭和のドラマで見たことある!』という感じ。入社した月は校了がいくつか重なり、早速1週間くらい家に帰れなかった思い出もありますが、面白い会社でした」

絵に描いたような下積み生活だったが、それでも仕事は楽しかった。だからこそ、「修行期間」と自分に言い聞かせた。

入社半年で編プロを「飛んだ」結果…

しかし三上さんは学生時代から付き合いのあった編集部から、企業の広報誌などを担当する部署へと異動させられてしまう。

「異動先の部署の上司がスーツ着てパワーポイント資料を取引先でプレゼンをする姿を見て、自分のやりたかった仕事とのギャップに驚いたんです」

すでに大学を中退していたこともあり、「会社辞めたら本当に所属がなくなる」という不安や恐怖もあったが、パワポ資料の作成業務の苦痛が勝ったらしい。結局、異動になってから約1カ月、入社してから半年ほどで、その編集プロを「飛んだ」という。

中退に退職と、ある意味、「ライターしかやれない」カルマを重ね自らを追い込んでいった三上さん。しかし、実績もコネもない新米ライターには、食べていけるほどの仕事は舞い込んでこなかった。

「新しく実話誌の編集者などと出会い、編プロを辞めてからの2~3年ほどは、警備員や飲食店などでバイトをしつつ、不定期で細々とライターの仕事をしていました。就職難だったこともあり、実は大学の同期にも卒業後しばらくフリーターしている人は少なくなかったんですが、彼らが普通に就職し始めた時はさすがにちょっと焦りましたね」

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