本連載は「中退」と銘打っているが、「良くも悪くも社会のレールに乗れない、しかし、それでも強く生きている人に話を聞く」という裏テーマがある。
今回、話を聞く村田学さん(49歳)は人生で4度も中退を経験。「一体なぜそんなに……?」と思えてきそうだが、話を聞いていくとその理由も理解できてくる。
会社員の父、教師の母のもとに生まれた村田さん
会社員の父、教師の母のもとに生まれた村田さん。父の仕事の都合で幼少期をアメリカで過ごし、その後、5歳の頃に日本に帰国。帰国子女というとキラキラしたイメージを持ちがちだが、実際は、苦労の連続だったようだ。というのも、村田さんは発達に偏りを抱える子どもだったのだ。
「もともと私は書字が苦手で、アメリカにいた頃には自分の『Manabu』という名前を書こうとすると『b』が『d』に反転しちゃう癖があったんです。そして、そのことを教員だった母親から厳しく注意されていました。
でも、日本に帰国して幼稚園に入ると、周りの子たちが普通に平仮名で自分の名前を書いていた。小学校に上がった時も、隣の席の子が自分の名前を漢字で書いていて。『この子、教わってないのになんで漢字で書けるんだろう』ってびっくりしたんです」
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