中央大学を「中退」した33歳フリーライターの末路 夢のため自分を追い込み予想より追い込まれる

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ここまでなら大学生活をエンジョイする学生であり、中退する流れには思えない。三上さんが中退した理由は何だったのか。いわく、複数の要因があったようだ。

「中退以前に、まず大学1年の春夏で自分が面接が苦手なことに気づいていたことがありました。居酒屋や本屋、ブライダル関係など、在学中はさまざまなバイトに応募しましたが、最初のバイトが決まるまでけっこうな率で不採用くらって。その結果、大学生活が始まってわりとすぐに、『自分は就活に向かないだろうな』と絶望していたんですね」

また、三上さん自身の性質に加えて、当時の就活生たちを取り巻く環境は、とても厳しいものだった。入学後に発生したリーマンショックの影響で、就活難になったのだ。

「私は2008年入学なのですが、リーマンショック後は『100社受けてようやく1社の内定を取れる』みたいな話もチラホラ聞いて。居酒屋バイトの面接もろくに受からない私が、狭き門である出版社を志望して普通に就活したころで、うまくいくとは到底思えなかったんです。

加えて、サークル活動をエンジョイしすぎた結果、大学3年の前期が終わったくらいで留年がほぼ確定……。実家からは『4年分の学費しかないから、もし留年するなら5年目からは奨学金を借りて通ってほしい』と言われ、『借金してまでして、面接に弱い自分が就活をするのはコスパが悪い』と当時は思ったんです」

ライターになるため、自分を追い込むが…

「そもそも入学当初は、全然違う業界でもっと地に足ついた将来像を思い描いていた気もしますが、それだってかなり大変なこと。いっそ不安定でも自分なりに努力できる、やりがいを感じやすい仕事を目指す方向になっていった感じですかね……」

結果的に留年してしまったが、ライターとしての将来も考えつつ、ただ漫然と大学時代を過ごしていたわけではなかった。

「就活の土俵を避けて、出版業界へのコネ入社を狙っていたので、バイトと掛け持ちしながら大学2年頃から商業誌などでライターの仕事を始めていました。当時Twitterで編集者とも知り合って、月に数万円くらいは稼いでいたんです。

学生バイトからすぐフリーランスとはさすがに考えていませんでしたが、どうせライターやるなら学歴は関係ないし、奨学金を借りるより中退したほうが身軽かなと。今思うと、『中退することで自分を追い込もう』という気持ちも、少なからずあったと思います」

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