独裁企業「フェイスブック」、ナンバー2退任の岐路 「フェイスブックの失墜」書いたNYT記者が語る

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――起業家や経営幹部が強い野心を持つことは、ほかのテクノロジー企業とて同じにも思えます。他社とどんな違いが?

まずは、CEOであるマーク・ザッカーバークの強大な権力による支配だ。あらゆる意思決定事項が彼のもとに上がってくる。

例えば「言論の自由」に関する彼の理解や哲学はつねに揺れ動いてきた。(フェイスブック上で)どんな発言が許されるか、許されないか。それによって(ユーザーの反発など)火が燃え上がってきた。だが、大きな権力を持つがゆえに、誰かが彼の考えに異議を唱える余地がほとんどない。

もう1つが、経営陣全般にいえることだが、成長を抑えるような計画をよしとしない文化だ。

例えばライブ配信機能の「フェイスブック・ライブ」を開始する際、「誰かが自殺しようとする様子を配信したらどうするのか?」といった声を上げた人は多くいたが、(会社は)サービスは完成しているので展開を始めるという姿勢だった。

フェイスブックは他社と比較にならないほど巨大なソーシャルメディアだ。あらゆる意思決定は世界中に大きく影響し、波及してしまう。にもかかわらず、成長のためなら懸念の声を無視してリスクを冒す。ここまでの企業はほかにないと思う。

どんな企業にも欠点はあるが、例えばツイッターやユーチューブは、政治家やコロナワクチンの誤情報に強硬な姿勢を取った。フェイスブックはそれに追随するだけで、先導者になろうとはしなかった。

多くの取締役が去った理由

――それでもフェイスブックは上場企業であり、機関投資家などの株主や取締役会によるガバナンスが利くはずです。

ザッカーバーグが会社の議決権の大半を握っている。ある元取締役が私に話してくれたのは、結局取締役会は諮問委員会にすぎないということ。大きな意思決定を覆せるような議決権が取締役にはない。株式上場前にザッカーバーグの支配権を強固にするために作られた体制なのだ。

取締役会自体は今も過去も、非常に有能な面々で構成されている。ザッカーバーグとの関係も良好だ。だが多くの人が去っていったのも事実。それはザッカーバーグが正しい判断をしていないと思っていたからだ。

株主総会では、ザッカーバーグの議決権を希薄化させるための株主提案が毎年のように出されているが、いずれも拒否されている。

むろん、創業者や限られた一部の人々が議決権を持つテック企業は多い。投資家は「創業者たちこそが次のテクノロジーを生み出す源泉」として神格化しがちだ。彼らが素早く動き、大きな意思決定をして、リスクを取りやすいようにしている。

ウィーワークのアダム・ニューマンやウーバーのトラビス・カラニック、セラノスのエリザベス・ホームズといった人々も、誰かが止めようとする前に(経営上の問題を起こし)会社にダメージを与えてきた。

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