内部告発者語る「フェイスブック」ディープな内情 アメリカ上院議員を驚愕させた議会証言の中身

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10月5日、アメリカ上院議員の小委員会で証言をした、元フェイスブックの幹部フランシス・ホーゲン氏(写真:T.J. Kirkpatrick/The New York Times)

世界最大のSNS企業フェイスブックでプロダクトマネージャーだった人物が10月5日、内部告発者として同社の内幕をアメリカ議会で暴露し、子どもを含む利用者がフェイスブック中毒になるよう同社が仕向けてきた周到な取り組みの実態を詳しく語った。

上院小委員会で3時間以上にわたって証言したフランシス・ホーゲン氏は、誤情報拡散防止チームの一員として5月まで2年近くフェイスブックに勤務。これまで同社の経営陣がほとんど明かしてこなかったディープな内情について率直に話した。

ティーンエイジャーがフェイスブックを利用した後にどれくらい自己嫌悪に陥るか、あるいはユーザーをつなぎ止めるために同社がどれほど憎悪に満ちたコンテンツを積極的に表示させているか、といったことを示す研究が存在したにもかかわらず、フェイスブックはそうした不都合な研究を意図的に隠していたという。

さらに同氏は、ほかにどのようなデータの提出をフェイスブックに求めるべきかについても議員らに情報を提供。そうしたデータは、世界的な存在感と権力に疑念が強まっているフェイスブックを規制する立法につながる可能性もある。

かつての巨大タバコ不正と同じ構図

「私が今日この場にいるのは、フェイスブックのサービスが子どもたちを傷つけ、分断をあおり、私たちの民主主義を弱体化させていると考えているからだ」。37歳のホーゲン氏は証言の中でそう発言した。「フェイスブックの経営陣はフェイスブックやインスタグラムの安全性を高める方法を知っているが、必要な変更を行ったりはしないだろう」。

アメリカ議会は過去何年にもわたってフェイスブックをはじめとする巨大テクノロジー企業に関する公聴会を開いてきたが、その中でもホーゲン氏の議会証言は際立ったものになった。それは、同氏がフェイスブックの内情を明らかにしただけでなく、ティーンエイジャーへの悪影響に対処するという点において共和党と民主党の議員を結び付けたからだ。

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