内部告発者語る「フェイスブック」ディープな内情 アメリカ上院議員を驚愕させた議会証言の中身

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一部の上院議員は今回の証言を、かつて巨大タバコ企業が発がん性を隠蔽していた事実が内部告発によって暴かれた事件になぞらえた。テクノロジー業界にとっては、それほどまでにインパクトのある告発だったということだ。

ホーゲン氏の証言や同氏がフェイスブックから収集してリークした何千ページにも及ぶ文書は、同社の経営陣が人々を欺く信用できない存在であることを示している、と議員らは述べた。

公聴会を主導した民主党のリチャード・ブルーメンソル上院議員(コネティカット州選出)は「この調査はまさしく衝撃だ」と語った。

今回の証言で一連の告発を「総仕上げ」

ホーゲン氏が何千ページにも及ぶ内部文書をウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)にリークして以降、フェイスブックは数週間にわたって厳しい批判にさらされてきたが、消費者保護に関する上院の小委員会で行われた今回の証言は一連の告発を総仕上げするものとなった。

ホーゲン氏から提供された情報を基にWSJが9月に掲載した記事によって、フェイスブックの企業イメージは政治コンサルティング会社ケンブリッジ・アナリティカによるユーザー個人情報の不正利用が発覚した2018年のスキャンダル以来、最大級の危機にさらされることになった。

ホーゲン氏が内部告発者であったことが公になったのは3日。同氏が自身のウェブサイトを立ち上げ、CBSの報道番組「60ミニッツ」に出演したためだ。

フェイスブックは、問題となっている研究は文脈から切り離され、誤って解釈されている、といった反論を繰り返している。

今回の公聴会を通じ、議員らはフェイスブックに責任を問う必要があるという点で大筋合意。フェイスブックのような企業がデマや有害コンテンツを拡散した場合に、より透明な情報公開を迫る法案など、さまざまな立法措置が提起された。

ただ上院では、ホーゲン氏が提示した多くの問題の対処に向けて、はっきりとした道筋が示されたわけではない。データのプライバシーに関する法案や、言論の自由に関わる法律の修正案など、多数の法案が議会で立ち往生している。

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