食べログ点数訴訟に連なる「AIによる差別」の恐怖 カカクコムが焼き肉チェーン店に地裁判決で敗訴
さて、まずはこの食べログ訴訟についてまとめてみます。毎月延べ8000万人以上が利用する食べログですが、お店側の不正防止のためにアルゴリズムの詳細は開示していません。ざっくりとした説明では点数は投稿者の単純平均ではなく投稿の多い投稿者のほうが影響力の高い形で加重平均されると説明されています。それを逆手にとって有力な投稿者がお店からコンサルフィーを受け取って書き込みをする事件が発覚したこともあるので「アルゴリズムを開示しない」としているのでしょう。
一方で訴訟にあたって韓流村が独自に調べた結果、同じタイミングでチェーン店の評価点が軒並み激減していたことで、そのようなアルゴリズムの変更があったのではないかと裁判で主張したのです。
6月16日の東京地裁の判決では食べログを運営するカカクコムに対して3840万円の賠償を命じました。一方でカカクコムは「不当な判決であると考えている」と表明し東京高等裁判所への控訴手続きを行い、この裁判は次のステージで争われることになりそうです。
地裁に公正取引委員会が意見書を提出
さてこの裁判で注目すべきことは地裁の判断の際に公正取引委員会が意見書を提出したという点という点だと思います。
公正取引委員会は食べログを含めた飲食ポータル各社に関して、独占禁止法に抵触する問題が起きている可能性があるということで調査に入り、2020年3月に取引実態の調査報告書を発表しています。
公正取引委員会の調査によれば店舗の評点を83%の消費者が参考にしている一方で、加盟店の94%は点数を上昇させたいと考え、32%は点数に不満や疑問を感じているとしています。また加盟店の11%が一方的な契約内容の変更を受け、そのうちの69%が不利益を被ったと回答しています。
その調査を踏まえ公正取引委員会の見解としては表示順位と店舗の評点に関しては「合理的な理由なく、恣意的にルール(アルゴリズム)を設定・運用し、特定の飲食店の表示順位や店舗の評点を落とすなど」の行為が行われた場合は差別取り扱いであり優越的地位の乱用であるとしています。
実は食べログについては2016年にある騒動が起きています。ツイッター上である飲食チェーン店が「全店のスコアがいきなりリセットされた」と報告し、同じタイミングで担当営業から連絡が来て有料プランを使ってもらわないと順位が上がらないと言われたとツイートしたのです。
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