食べログ点数訴訟に連なる「AIによる差別」の恐怖 カカクコムが焼き肉チェーン店に地裁判決で敗訴

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この先、ビッグデータの分析が進んでくると思わぬ相関関係にAIが気づくケースがたびたび起きるようになります。あくまでもたとえ話ですが、もし組織の中で過去に何らかの問題を起こした社員を分析したところSNSにおける何らかの行動に相関関係が見つかったとします。すると就活の一次スクリーニングをAIが行う時代にはこの相関関係から「SNSの行動を分析した結果として該当する学生が就活面接に呼ばれない」などという事態が起きるかもしれません。

これが「ビッグデータ分析差別」ないしは「スコア化による差別」という新しい社会問題です。この問題、今は話をしてもピンとこない人も多いのですが、AIによる選考はすでにアメリカでは訴訟を引き起こしていますし、日本でも間違いなく10年後には大きな社会問題になるはずです。

なぜチェーン店の点数が低くなったのか?

そもそも仮に韓流村の主張が正しかったとしたらなぜチェーン店の点数が低くなったのでしょうか? ここは多くの方が誤解されている点ですが、同じ価格帯、同じ料理ジャンルならチェーン店のほうが単独の店よりも有利な面が間違いなくあります。大規模チェーンは仕入れ力に利があるからです。

ミシュラン一つ星シェフの村山太一さんは、「サイゼリヤのエスカルゴは、日本ではほかのどんな高級店でも絶対にマネできないクオリティです」と語っています(「サイゼリヤのエスカルゴは日本一」と一流シェフが断言する明確な理由/日刊SPA!/2020年9月20日配信)。グルメライターが、価格の違う銀座の老舗の高級すし店と回転寿司店のマグロの握りの区別がつかなかったという話もあります(【大波乱】グルメライター格付けチェック『まぐろの握り寿司編』:第10回 →「銀座久兵衛」vs「スシロー」/ロケットニュース24/2022年6月15日配信)。

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にもかかわらずチェーン店の点数が低くなるのは人間がそういうルールでアルゴリズムを作っているか、ないしはもっと怖いケースとしては、あるアルゴリズムで育ったAIが勝手にチェーン店の点数を下げている場合です。

チェーン店というものは規模が増えれば増えるほど、自らのブランド力で飲食ポータルに広告宣伝費を払わなくても集客できるようになります。ではAIが「飲食ポータルの運営会社により利益をもたらす飲食店の点数をよくしよう」と独自に考える未来が来たらどうなるでしょう? ランキング上位には有料の店舗会員がずらりと並ぶ未来がやってくるかもしれません。

このような「スコア化による差別」が危惧されるがゆえに、実はアルゴリズムは開示されるべきだと考える専門家は少なくないのです。食べログの事件がこれからどうなるか、高裁の判断に注目したいと思います。

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