日本にいる「難民申請者」交流して見えた悲痛現実 6月20日は世界難民の日、知られざる日本の実情

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ロシアによるウクライナ侵攻によって母国を離れたウクライナ人たちがこの数カ月の間、日本に次々と到着している。難民ではなく、“避難民”と呼ばれる彼らは、すでに1000人以上。セバスチャンが一緒に登山した日本人は、政府や自治体がウクライナ人への支援策を次々と打ち出す中で彼のストーリーを聞いたことになる。

「日本の皆さんは、日本の難民申請者の実情を、ほとんどご存じないんです」

出入国在留管理庁の発表によると、2021年には過去最多の74人が難民として認められた。前年比で27人の増加。さらに、難民としては認定されなかったが人道上の配慮で特別に在留が認められた人も、過去最多の580人に達した。難民認定手続きの結果、同年だけで計654人に在留許可が下りたことになる。許可の急増は、ミャンマーなどでの情勢悪化に配慮した結果だ。

2021年に難民申請(一次審査)の結果を受けた人は6150人を数える。このうち、認定されなかったのは4196人。処分に対する不服申し立て(審査請求)でも認められなかった人を合わせると、難民不認定者は同年だけで1万人を超えている。

審査の平均処理期間は、一次審査で約32カ月、不服申し立ては約21カ月だった。つまり、一次審査ではねられ、不服申し立てをして結果を得るのに53カ月、4年以上かかる計算だ。「国には帰ったら命が危ない」などとして複数回にわたり申請を出す人もいる。そんなケースでは、さらに長い年数を費やして「待つ」ことになる。

「非正規在留者」は就労が禁止されている

ここで問題になるのは、「待つ」間の彼らの生活だ。滞在が認められていない「非正規在留者」は就労が禁止されている。その数は2021年、難民申請者の2割を占めた。セバスチャンもその1人だ。ある程度のお金を持って来日していたとしても、例えば4年間、働かないで暮らせる蓄えがある人は何人いるだろうか。

日本国民であれば、生活が困窮したときのセーフティーネットが用意されているものの、彼らにはそれがない。

「本当に祖国に帰れない人は、支援が打ち切られたら、路上生活をするか、犯罪に走るか、それとも最悪の場合、庇護を求めた日本で死んでしまいます」と支援者らも改善を訴えている。

難民申請者には、公的支援も用意されてはいる。しかし、その制度は全員が対象にはならないし、生活保護の水準にも満たないと認定NPO法人難民支援協会(JAR)は指摘。ウクライナから日本に身を寄せた人々への支援の在り方が議論される中、「日本に逃れて保護を求める人々を、分け隔てなく公平に支援するための取り組みが求められます」とJARは訴えている。

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