日本にいる「難民申請者」交流して見えた悲痛現実 6月20日は世界難民の日、知られざる日本の実情

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東京出入国在留管理局。俗に「品川入管」と呼ばれる(撮影:益田美樹)

6月20日は「世界難民の日」。2022年のこの日は、ウクライナ戦争によって日本に来た“避難民”にいっそうのスポットライトが当たるかもしれない。ただ、最近はよく知られてきたように、日本の難民認定率は他国と比べて著しく低く、2021年も1%にすら満たなかった。

申請者の圧倒的多数が難民として認められておらず、同時に彼らの実情もほとんど知られていない。ある難民申請者の姿を通じて、彼らが「見えない」理由を追っていこう。

「品川入管」からの出頭命令

東京都のJR品川駅前に、多様な人種の人たちが長蛇の列をなす都営バス「品99」の停留所がある。遠目にはイベント会場行きのようだ。係員がせわしなく交通整理を続け、定員いっぱいのバスが次々に出発していく。行先は東京出入国在留管理局。「品川入管」と通称されるその施設は、外国籍の人々が定期的に訪れなければならない役所の一つだ。

6月上旬、筆者はこのバス停で1人の外国人と待ち合わせをした。アフリカ系のセバスチャン(仮名)。日本に庇護を求めてやってきた難民申請者だ。

「オハヨウゴザイマス。スミマセン。スミマセン」

雨の中、駆け寄って来た彼は30歳代。外国人といっても、日本人男性の平均的な身長と変わらない。温和な表情の丸顔は、若く見える。日本に留学中の大学生といってもいいくらいだ。

セバスチャンはこの日の午前10時に出頭するよう品川入管から呼び出しを受けていた。「出入国管理及び難民認定法第54条第2項」の規定により、呼び出しを受けたら出頭する義務がある。

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