「休めない日本人」いまだ生み出す抵抗勢力の正体 小室淑恵「現役時代の休み方が定年後を決める」

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小室:休むことに抵抗感が強い職場で最初にやる施策があります。それが「マニュアル休暇」です。全員が2週間程度のまとまった休みを取る練習をするんです。まず休みが取れたら何をしたいかを全員で書き出してもらいます。育児や介護などの理由がなくても、独身者も全員でカレンダーに休む予定を入れます。そして休む期間の仕事の引き継ぎの問題が発生するので、その際に利用するマニュアルを作成していくんです。マニュアルは、仕事を引き継ぐ側が書くと、いざその仕事をやってみる際に機能するマニュアルが作れます。

マニュアル休暇の効果はいくつかあります。独身/既婚・子どもの有無等にかかわらずみんなが休みを取ることによって、お互い様になるので肩身が狭くなく休めるようになります。また、マニュアル化が行われるので劇的に仕事の属人化が解消されます。個人商店的な雰囲気から、チームへの配慮も生まれます。

従来個人商店の働き方だと、誰かが困っていても助けられないので放っておくしかなかった状況が生まれてしまっていました。属人化を脱することが助け合える土壌を作るんです。

鈴木:土壌作り、マニュアルもできて一挙両得ですね。それは当院でもぜひやってみたいです。

ある日突然休職する方の傾向として、自分の都合よりも周りを優先して、環境や他者からの期待に完璧に近い形で従おうとする「過剰適応」傾向が挙げられます。そうした方の95%が、口癖のように「大丈夫です」と言ってしまうという結果が出ていますが、SOSを出すのが苦手な方にとっては、誰かが日常的に休暇を取得している状態というのは、安心して休暇を取得できますね。

抵抗勢力を生み出す、アドレナリンの罠

休みやすい土壌作りができても、次にハードルになるのが、ストレスは自覚するのが難しく、そもそも休む必要性を感じづらい点です。

高ストレス者の57%が、自身が高ストレス者であることを自覚していないという結果が明らかになっています。

対策としては次のようなことが考えられます。開発者によって精度にばらつきはあり発展途上の領域ではありますが、声や自律神経など生体情報を活用したストレスチェックのアプリなども存在します。自身の感覚だけに頼らず、そうしたテクノロジーを活用するのも、選択肢の1つだと思います。

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