巨大な水がめ「富士山」の厳選おすすめ水スポット 溶岩に染み込んだ水がもたらす恵みと絶景

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本栖湖からのぞむ富士山(写真:筆者撮影)
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今年は梅雨の季節が巡ってきました。ガイドの仕事をしていると、雨の多い時期はツアーの催行にも影響が出ますが、自然界にとっては恵みの雨となります。

富士山麓には、年間を通して大量の雨や雪が降り、富士山はその膨大な水を蓄えます。その水は、山麓に生息する生き物や、人々の暮らしを支える貴重な資源となっています。山麓に降り注いだ水には、地下の水脈を経てやがて湧き出し、川を経て海へと戻り、再び雲となり山に水をもたらすという循環の仕組みが成り立っています。

今回は、そんな富士山の水の恵みについて紐解いてみたいと思います。

富士山には常時流れる川が1本もない

富士山麓には、年間約20億~30億トンもの雨が降ると推定されています。降った水の一部は地表で蒸発したり、植物に吸収されますが、その大部分は、すぐに富士山に染み込んでいきます。富士山の山体は、噴火によって噴出した玄武岩質の溶岩によって構成されており、溶岩は噴火時に含まれたガスの気泡が細かい穴となって冷えて固まっているため、水が浸透しやすい構造になっています。

富士山を登ったことがある方ならお気づきかもしれませんが、富士山には常に水が流れている沢や川がないのは、このように水が浸透しやすいためです。それでは地下に潜った水は、どのような道筋をたどるのでしょうか。

富士山の地下に染み込んだ水の過程が観察できるのが富士山の地下の世界、洞窟です。噴火した際の溶岩によって造られた洞窟の内部に入ると、地表から染み込んできた水が天井から滴り落ちて、また溶岩に吸収されていく様子を見ることができます。洞窟内部は年間を通じて低温のため、時期によっては天井からの滴り落ちた水がじっくりと時間をかけて凍りついた氷の芸術、氷筍(ひょうじゅん)も観察することができます。

氷の芸術、氷筍(写真:筆者撮影)

そして地下へと浸透し続けた水は、溶岩の層の割れ目にそって水脈となります。幾重にも重なった溶岩の層の隙間を流れていき、富士山麓各地で湧き水となって、再び地上に現れます。水が湧き出るまでは、場所によって隔たりがあり、数十日から百年近くかかるところもあると言われています。

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