新幹線延伸で大盛況の予感、福井ご当地鉄道事情 敦賀駅は関西と北陸をつなぐ「鉄道の要衝」

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北陸トンネルを抜けて嶺南にやってくれば、福井県のもう1つのターミナル・敦賀駅。2024年春に延伸する北陸新幹線は、ひとまずこの敦賀駅を終点とする予定だ。そして同時に、北陸本線も敦賀以北(敦賀―大聖寺間)で長大第三セクターが誕生することになる。路線愛称は「ハピライン」になるのだとか。

敦賀駅は1882年に開業した歴史の古い駅で、かつては敦賀港への支線も持っていた。敦賀港ではウラジオストクへの国際航路と連絡、さらにシベリア鉄道を介して欧州へ。飛行機が飛び交うまでは、東京とヨーロッパの主要ルートになっていた。しかしそんな時代は遠い昔に過ぎ去り、敦賀―敦賀港間の支線は1987年に旅客営業を廃止、2009年以降は貨物列車も運行が終了し、2019年には正式に廃止されている。

敦賀も鉄道の要衝

その敦賀駅は、鉄道輸送におけるキーステーションであった。北陸本線は米原―敦賀間が直流、敦賀―金沢間が交流電化。敦賀駅の少し先にデッドセクションがあって、つまりは新快速などに使われる直流電車がやってこられるのは敦賀駅が限界というわけだ。

もはや懐かしの寝台特急「トワイライトエクスプレス」も、上り列車は機関車を敦賀で付け替えていた。国際航路の連絡に電化方式の境目の駅。敦賀は鉄道史にきらめく“鉄道の町”であった。

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だから、というわけではないが、敦賀駅は京阪神と北陸を結ぶ中継地点であるだけでなく、若狭湾に沿って西に向かって東舞鶴駅までを結ぶ小浜線というローカル線も分かれている。

リアス式海岸の若狭湾を眺めることのできる小浜線は、それだけで充分風光明媚な路線であるが、別の大きな特徴を持っている。それは、比較的輸送量が小さいのにもかかわらず電化されているということだ。小浜線の電化は2003年。のどかで静かな小浜湾を眺める車窓は、福井県内の鉄道でもいちばんといっていいほど美しい。

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鼠入 昌史 ライター

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そいり まさし / Masashi Soiri

週刊誌・月刊誌などを中心に野球、歴史、鉄道などのジャンルで活躍中。共著に『特急・急行 トレインマーク図鑑』(双葉社)。

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