東武東上線は運転本数もお客の数にも恵まれた、首都圏の鉄道ネットワークの中でも格別の存在感を放つ“通勤路線”の1つだ。地下鉄の副都心線を間に挟んで東急東横線、さらにはみなとみらい、元町・中華街にまでつながっている。2023年3月にはこれら地下鉄・東急を介して相模鉄道と接続する予定だ。沿線に住んでいなくとも、東京で暮らしていれば東武東上線の存在を強く意識する機会は多いのではないかと思う。
だが、しかし。沿線外の人がじゃあ今度、東武東上線に乗ってみよう、となるかというと……正直言って微妙なのかもしれない。確かに沿線には川越という観光地があるが、ほかに何があるのかはよく知らない。和光市駅という地下鉄乗り入れの要衝になっている駅の名は知っているし、朝霞台駅はJR武蔵野線北朝霞駅との乗り換えの駅。あとは……、よくわからない。
実は見どころがたくさんあるのか、はたまた本当に遊びに行くような場所が少ないのか。よくわからないならば、とにかく行ってみるしかあるまい。
「1日を通してにぎやか」
というわけで、池袋駅から急行に乗って約25分。ふじみ野駅にやってきた。和光市からふじみ野までの各駅を預かる駅長たちが、この区間について教えてくれるというのだ。ならばさっそく伺いますが、和光市―ふじみ野間って、どんな区間なんですか?
「そうですねえ……この区間で言いますと、やはり観光というよりは通勤でご利用されるお客さまが多いですね。あとは大学や高校も多いので、高校生や大学生のご利用も多くなっています。大学生は通勤時間帯とは違う時間帯に移動しますから、1日を通じてにぎやかな駅も多いですよ」
こう教えてくれたのは、東武川越駅管区の副管区長で和光市駅長を務める高松茂さん。和光市駅は、言わずとしれた地下鉄直通と池袋方面の分岐駅。そのためお客の数も非常に多く、乗降人員は12万9324人(2020年度1日平均、以下同じ)。東武鉄道全体でも北千住駅・池袋駅の2トップに次ぐお客の数を誇る。
「ですが、この駅はちょっと特殊で、地下鉄との乗り換えのお客さまも乗降人員に含んでいるんです。なので改札を通っていないお客さまもカウントされている。和光市駅を除きますと、和光市―ふじみ野間でいちばん多いのが朝霞台駅。JR武蔵野線との乗り換えのお客さまが中心です」(高松さん)
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