東上線は朝霞市内を抜けると、志木駅に着く。和光市―ふじみ野間の中間で急行が停車するのは朝霞台とここ志木駅だけだし、地下鉄方面からやってくる各駅停車には志木駅止まりも多い。なんだかんだで東上線の中では知名度のある駅といっていいかもしれない。志木駅と、そのお隣の柳瀬川駅を預かっているのは勝田和久さんだ。
「鉄道というと、いわゆる朝ラッシュが終わって10時から15時くらいまで、ちょっとまったりする時間があるものなんですよね。でも、そう思って志木駅に赴任したら、閑散とする時間帯がほとんどなくてびっくりしました。近隣には大学も多いので、昼間は学生さんたちの姿が目立ちますし、夕方のラッシュ前には高校生がちょうど帰宅時間。さらに東口からは浦和方面へのバス、南口からは西武線のひばりヶ丘方面へのバスが出ていて。なので、ラッシュ時間帯はもちろん1日中にぎやかな駅ですね」(勝田さん)
実際に訪れてみると、志木駅のにぎわいぶりは想像以上だった。東口方面にはいわゆる駅商業施設があるし、それを抜けてペデストリアンデッキの先にはマルイも鎮座する。カッパの像がシンボルの広場では学生たちが友人との待ち合わせをしている。反対側の南口は駅前に大きなロータリーがあって、バス乗り場には列もある。ちょうどお昼過ぎくらいに来たというのにこれだけにぎやかな郊外の駅はなかなか珍しい。
定期券売り場の行列
「あとは志木駅は定期券発売所があるんです。学生さんの通学定期などは証明書が必要なのでここでしか買えなくて、なので4月はもう大変な混雑です。発売所の窓口から駅の階段まで行列ができるんですよ。長い人は2時間とか並んで。もう志木駅の春の風物詩になっていて、今年は4月8日あたりが“Xデー”じゃないかなとみています」(勝田さん)
なお、定期券は使用開始の14日前から購入することができる。つまり学校側が早めに証明書を発行してくれれば、志木駅の大行列もいくらかは解消されるというわけだ。かわいい学生さんが不慣れな駅前で2時間も並んでるんですよ、学校関係者の皆さん、なんとかしてあげてください……。
いっぽう、1つ隣の柳瀬川駅は老若男女、あらゆる人たちで終日にぎわう志木駅とはまったく違い、落ち着いた雰囲気の駅である。南側には団地があって、その住民たちのために1979年に開業したという。駅名の由来は、駅のすぐ西側を流れる柳瀬川。春になると桜が咲いてたくさんの花見客がやってくるそうだ。
柳瀬川駅から先は富士見市に入る。同市内のみずほ台・鶴瀬・ふじみ野の3駅は、ふじみ野駅長の山崎昌夫さんが預かっている。
「この3駅のなかで、いちばん歴史が古いのは鶴瀬駅なんです。富士見市役所に一番近い駅もこの駅です。みずほ台駅はマンションや団地が多いベッドタウンの駅でして、近くに三芳町の工業団地がある関係で送迎バスがよく停まっています。みずほ台駅の近くには小さな飲み屋街もあって、工業団地で働く人たちが帰宅途中に一杯やっていくところなんでしょうね」(山崎さん)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら