さて、そんなふじみ野駅だが、ここにはひとつのシンボリックな建物がある。
「アイムふじみ野というタワーマンションができたんです。他にもマンションなどが最近増えてきていまして、おかげさまでふじみ野駅もたいへん多くのお客さまにご利用いただいています。何しろ、TJライナーは池袋駅を出て最初に停まるのがふじみ野駅ですからね。朝の上りTJライナーも、ふじみ野駅からはノンストップ。たいてい、ふじみ野駅で満員になりますよ」(山崎さん)
TJライナーは、2021年のダイヤ改正で朝の上りを2本から4本に増便した。ふじみ野駅を7時ちょうどと8時26分に出発する便が増えたのだ。増便当初は認知度が低く利用が少なかったというが、じきに増えてきて今では7時ちょうどのTJライナーが一番人気。
「それまでは6時43分と8時50分だけでしたから、いちばん便利な時間帯に増やすことができました。池袋まではTJライナーだと最速21分。なによりあまり混んでいない列車に座って通勤できますからね。一度乗ったらやめられないよ、というお客さまのご意見も頂戴しています」(山崎さん)
朝の上り電車で言うならば、ふじみ野駅を出発したTJライナーはスピードを上げて快適に池袋を目指す。ちょうどこの区間、線路が一直線に敷かれている。だからTJライナーの威力を実感するのにもちょうどいい。TJライナーで快適に座って池袋まで約20分の通勤時間。それが、ふじみ野のタワマンに住まうということなのだろう。
複々線が威力を発揮する
ちなみに、この区間には鉄道ファン的な見どころもほかにあって、たとえば和光市駅から志木駅までは東武東上線で唯一の複々線区間。朝夕の地下鉄直通列車が志木駅発着なのは、こうした特徴を生かしたものだ。また、和光市駅と志木駅には渡り線も設けられているので、ダイヤが乱れた場合には複々線を効率的に活用して列車を走らせることができるのも特徴だとか。これは、同じく東武鉄道のスカイツリーラインでは見られない。それもこれも、東上線が首都圏屈指の通勤路線であることの表れといっていいだろう。
和光市駅からふじみ野市駅までの旅、いかがだっただろうか。それなりに見所がないわけではないが、やはり全体的にはベッドタウンの街。わざわざ足を運ぶような観光地を抱えているとは言い難い。
しかし、そんな中にも昔ながらの団地や商店街、地域の中核として大学生たちでもにぎわう商業の駅など、千差万別。似たり寄ったりと思われがちな郊外の駅前風景も、こうして歩いてみるとそれぞれに個性があるというものだ。それを知れるだけで、ベッドタウン路線の旅もあんがい悪くない。
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